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Doraneko&Donuts

おすすめの本と映画と音楽をお茶を飲みながらまったりと語るブログ

日本人のアイデンティティを揺さぶる名著が集結!

おすすめの本

名著講義 (文春文庫)

 

ドラねこ書店 おすすめの本93

こんちわ、みんな元気かーい?

みんなの大好きなおいさんだよ。(*´∀`*)

今回は、藤原正彦氏の「名著講義」について語ってみたいと思います。

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名著講義

名著講義 (文春文庫)

名著講義 (文春文庫)

 

日本人が知らない日本人。

いや日本人が忘れてしまった日本人について書かれた本。

それがこの「名著講義」の内容だ。

 

この本は「国家の品格」の藤原正彦氏がお茶の水女子大学で10年にわたって続けられた読書ゼミを書籍化したものである。

藤原正彦氏といえばわしが好きな数学者というか、エッセイストというか、日本人作家という感じで氏の著作はどれもおもしろいので好んで読んでいた。

本書はそんな藤原正彦氏が選んだ本を学生と語り合いながら考察していくというスタイルで構成された本でわくわくしながら読みすすんでいった。

 

それにしても本書で取り上げられている書物の構成がおもしろい。

新渡戸稲造「武士道

内村鑑三「余は如何にして基督信徒となりし乎

福沢諭吉「学問のすゝめ (岩波文庫)

日本戦没学生記念会編「きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 

渡辺京二「逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

山川菊栄「武家の女性

内村鑑三「代表的日本人 (岩波文庫)

無着成恭「山びこ学校 (岩波文庫)

宮本常一「忘れられた日本人

キャサリン・サンソム「東京に暮す

福沢諭吉「新訂 福翁自伝 (岩波文庫)

藤原正彦「若き数学者のアメリカ

 

と、その中でもわしが読んだことがある本は三つくらいしかなかったが、中でも「武士道」について語られている部分が非常に興味深かった。

武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

 

独創性は、学問をやる上で非常に重要な要素です。

学問をやるためには、権威に歯向かっていかなければならない。ノーベル賞受賞者に向かって「ふざけるな、このやろう、お前の説より俺の方が上だ」とやるのが独創性ですから、これは非常に傲慢なことです。

当然「そんな説を唱えたら、世界中の学者に笑われるよ」と周囲に言われることもあるでしょう。でもそれにめげて大勢に付くことばかりしていたら、独創性は生まれなくなります。

藤原正彦「名著講義」p28

新渡戸の「武士道」というと難しい言葉が多く、現代の若者が理解するには非常にハードルが高い本なのだけど、確かに日本人の規律としては目立たないように生きる。

みんなと同じようにという行動規範が良しとされてきた社会において、輪を乱さないことは大事なことだが、しかし学問を極めようとする人間はそうした規範に捕らわれない自由な発想をすることが大事であると藤原氏は言っているのだ。

 

そうした人に大切なのは「独創」なのだ。

「独創」を道徳によって縛られてはいけない。

 

戦後刷り込まれた日本人感の破壊

この本には戦後GHQによって刷り込まれ、自信を失くした日本人を奮い立たせようという意図のもと選ばれた本がたくさん選ばれているように思える。

その他にも未読ながらも日本戦没学生記念会編の「きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 」について語っている部分で、

きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)

 

アメリカはこの特攻隊を「スーサイド・アタック」、つまり「自殺攻撃」と呼んで大変怖がっていました。命中せず至近距離に落ちてもパイロットの肉片が飛び散ってくるような攻撃は、自殺を厳禁したキリスト教徒のアメリカ人にとってはありえない攻撃だからです。

戦慄に涙しながら特攻機を撃ちまくる米兵もいたようで、実際、精神の変調をきたし後方へ送られた者も数多くいたようです。 

p83

わしら戦後時代の人間は、特攻といえば「犬死」と教わってきた世代である。だが実はそれはウソで、本当はあのアメリカ軍の兵士たちを心底震え上がらせたという話には目新しい発見であった。

神風で戦死された方々は犬死ではなくやはり「英霊」だったんですね(*´∀`*) 

 

 その他にも渡辺京二の「逝きし世の面影」では

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

逝きし世の面影 (平凡社ライブラリー)

 

藤原「(前略)確かに江戸時代は、身分制度がはっきりしていました。

でも本の中に出てくる日本人はみんなにこにこしていて、幸せそうだと書かれていますね。支配階級の武士だって農民だってみんな貧乏なのに、陽気で、冗談をいっては笑い合っていると外国人は異口同音にいっています。

自由平等イコール降伏、封建社会イコール不幸、というのは欧米が撒き散らした神話で、良く考えればそれほど単純ではありません。

そもそも日本の封建社会は西洋のものとは似ても似つかないのです。

p109 

歴史の授業などで封建社会はあまりにも惨憺たる時代だったと教わったものだが、そうしたものは過去に作られた神話でしかないということにもしっかりと言及されていて江戸好きのわしには嬉しい解説がなされている。 

 

こうした風に藤原氏の選ばれた本には戦後教育の呪縛を解き放つような意図を持って選ばれた本がいくつも紹介されていく。

そうした本をこの本で紹介されながら読んでいくと非常に励まされる想いがするから嬉しい。

 

そして本書の中でもっともわしの心に響いた言葉はこれだ。

藤原「(前略)ただこの頑固さ、付和雷同しないことはとても大事です。

これはあなた達の学問においても大切です。流行を追いかけ世界中の研究者の群がるような分野を志すと、大学、大学院と猛勉強を続け、三十位でやっと論文を書けるだけの実力がついた頃には、今から十年以上たっていますから、大方の重要な問題が片付いてしまっている可能性もある。

そもそもそういう華やかな分野は進歩のスピードがものすごく、大変な競争に巻き込まれることになる。ゆったりした気分で、それほど流行っていないけれども本質的にと思われる研究を着実にするというのも一つの手です。

二十年後にその分野が流行りになったらあなたは第一人者ということになります。諭吉ほどの徹底はできませんが、付和雷同は恥だと思っていていいでしょう。

p246 

付和雷同しないこと。

これは日本人にとってもっとも大切なことのように思える。

戦前の日本の軍国主義にしろ、最近のSEALsの騒ぎにしろ、そうした自らの頭で考えない国民性が招いた日本人の宿痾だとわしは思っている。

 

ワシ自身、自らの頭で考え生きていくためにこうして本を読んで猛勉強しているが 、それもこれもこうしたバカどもと一緒にしてほしくないからである。

自らが立派に行き、社会に流されない大人になるためには、こうした本を読んで日本人とはなんだったのか?と問い続けることが重要なのだと痛感した。

 

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