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英米文学の最高峰がこの二冊に集約!驚くべき「マスターピース」とは?

アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)

 

海外小説を読むのが好きで、今年はよくその手を本を読み漁っている。

そうすると、お気に入りの翻訳者というものが自然と出来上がるものだが、わしにとっては柴田元幸氏がその1人だ。

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前回紹介したとおり柴田元幸氏は村上春樹氏と以前はタッグを組むほど、頻繁に翻訳した海外小説を出されている方で、「この人の訳した本は何を読んでもおもしろい!」高橋源一郎も太鼓判を押すほどの日本を代表する翻訳者である。

 

第126回目の今回は、そんな英米文学の名作短編ばかりを集めたアンソロジー、「アメリカン・マスターピース 古典篇 (柴田元幸翻訳叢書)」と「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」を紹介しよう。

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アメリカン・マスターピース

読んでいて馴染み深い作品が多かった。

 

というのも本書で紹介されている短編はどれも有名な作家の有名なお話ばかり。

エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」とか、O・ヘンリーの「賢者の贈り物」とか、ジャック・ロンドンの「火を熾す」とか……知る人ぞ知る名作短編をぎゅぎゅっと詰め込んだ豪華アメリカ文学の結晶である。 

 

ポーもO・ヘンリーも共に以前、光文社から出ている新訳の方を手に入れて先に物語に触れていたが、今回改めて読み返してみるとその訳仕方というか、文章そのものが持つ迫力にただただ圧倒された。

 

そうか、柴田さんが訳すとこんなふうになるのか、とポーの緻密で猟奇的で謎めいた雰囲気に身も毛もよだつような思いで物語を読み進め、名作「賢者の贈り物」は頭の中で昔道徳の教科書に載っていた子供向けの文章と比較しながら改めてO・ヘンリーの原文に近い翻訳を味わった。

 

個人的にはこの他にハーマン・メルヴィルの「書写人バートルビー」とか(そうしない方が好ましいのです)、落ちぶれた貴婦人と紳士が登場するヘンリー・ジェイムズの「本物」などが非常に摩訶不思議で、でもなんとはなしに実際にそこにこういった奇妙な人々が息づいていそうな空気感が、さすが文豪たちの往年の名作ぞろいだからである、とうなずける。

 

どれもこれも読んでいて一曲も二癖もあり現代文学に勝るとも劣らない秀逸な作品ばかり。

 

外国文学好きにはたまらない一冊となっている。

 

ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース

ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース(柴田元幸翻訳叢書) (Switch library)

続いてこちらはイギリスの名作短編を寄せ集めた「ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース」 

 「ブリティッシュ」はもちろん英国のことで、「アイリッシュ」はアイルランのことである。

本書はこの2つの国からそれぞれ有名な作家の短編小説を収録している。

……って、ウェールズやスコットランドはないんかいw

 

こちらの本は一作の短編が「アメリカン〜」に比べて短めで、そのおかげで 「アメリカン〜」よりも収録されている作家の数も多く、わし個人としては奇妙な男を目撃したおかげで不運に見舞われる信号手の運命を描いた傑作、C・ディケンズ「信号手」とか、どんな願いも叶えてしまう呪いの物語W・W・ジェイコブズ「猿の手」などが読んでいて涙が出そうなくらい怖かったw

 

なかなか陰鬱なエピソード満載の本書だが、中には有名な黄金の象の王子とツバメの交流を描いたオスカー・ワイルドの「幸せな王子」なども収録されているので一概に怖い話を集めました、というわけではない。

 

中にはジョゼフ・コンラッドの「秘密の共有者」のように手に汗握る二人の男の奇妙な交流を描いた海洋小説(?)もあったりで、本書の中ではこれが一番のお気に入りであるw

 

こんな素晴らしい小説の数々を集めた傑作選「マスターピース」

どちらから読んでも損はしない。素晴らしいアンソロジーである。