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Doraneko&Donuts

おすすめの本と映画と音楽をお茶を飲みながらまったりと語るブログ

武士道の秋は死ぬことと見つけたり?

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死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

※2014/10/10 リライトしました。

 

ドラねこ書店 おすすめの本15

ちわ~!ドラねこです。(=´▽`=)ノ

皆さん本読んでますか?

 

季節はまったくもって秋の気配ですね。

秋と言えば武士の季節ですよね(*´∀`*)

 

というわけで今回は、

「武士道とは何か?」ということをわかりやすく教えてくれる歴史小説をご紹介します!

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死ぬことと見つけたり

死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)

 

常住坐臥、死と隣合せに生きる葉隠武士たち。

佐賀鍋島藩の斎藤杢之助は、「死人」として生きる典型的な「葉隠」武士である。「死人」ゆえに奔放苛烈な「いくさ人」であり、島原の乱では、莫逆の友、中野求馬と敵陣一番乗りを果たす。

だが、鍋島藩を天領としたい老中松平信綱は、彼らの武功を抜駆けとみなし、鍋島藩弾圧を策す。

杢之助ら葉隠武士三人衆の己の威信を賭けた闘いが始まった。

武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」

 

この言葉は「葉隠(はがくれ)」という武士の古典と呼ばれた書物に載っている有名な一節である。

 

葉隠は「鍋島論語」とも呼ばれ、主流の武士道とは大きく離れたものであり藩内でも禁書の扱いをうけたが、徐々に藩士に対する教育の柱として武士道のテキストとなって主に九州一帯に広く読まれるようになったのだそうな。

葉隠という書物には、現代人が読んだら過激と思われるような内容も書かれていたりもするが、しかし必ずしもそうした過激なものばかりではない。

「葉隠の記述は、嫌な上司からの酒の誘いを丁寧に断る方法や、部下の失敗を上手くフォローする方法、人前であくびをしないようにする方法等、現代でいうビジネスマナーの指南書や礼法マニュアルに近い記述がほとんどである。」

というように武士の生活に欠かせない知恵のようなものまで網羅していたらしい。

 

だがやはり葉隠の中心は、

戦場においての平時の武士の心構えなどを説いたものと見ていいだろう。

そうしたことは現代の人間が読んだら堅苦しくて読みにくいのも確かである。

また難解であるというイメージがあるため初心者がそんな「葉隠」を読むことはあまりのモノ好き以外は難しいだろう。

そこで葉隠に書かれているような内容を優しく物語の形で解きほぐしてくれるのがこの「死ぬことと見つけたり」だ。

 

この本は葉隠を読みやすく訳し直したものでも葉隠の「解説書」でもない。

この本はれっきとした物語、「時代小説」である。

 

物語の主人公、

佐賀鍋島藩浪人の斉藤杢之助は常に死を想像している。

それは自殺願望があるからではなく、亡き父の「武士というものはいつでも死ぬ覚悟がなくてはならぬ」という教えから、毎日朝起きたら自分が死ぬことを想像し目を覚ます訓練をしているのだ。

 

これが杢之助の「いくさ人」としての覚悟を養うことになる。

 

葉隠は「いくさ人」の感覚を養う書

常に自分を「いくさ人」と思っている杢之助は、自分が浪人であってもちっともかまわぬ。

それよりかその境遇を恥じることなく堂々釣りと狩りに勤しみ爽やかに日々生き抜いている。また周囲の人もそうした生き方に好感を持っているのだ。

 

杢之助の狩りの腕前も半端なものではない。

大猪と真正面から対峙し、その距離1間(二メートル)になるまで決して打たず、そ一度鉄砲の火蓋が落とされると決して外しはしないのだ。

 

それほどの鉄砲の名手である杢之助とって狩りとは、遠いところから獲物に向かって玉を乱射してなぶり殺すモノではなく。自己を日頃から鍛錬するためのものであり、武士として、「いくさ人」としての感覚を維持するための一対一の決闘でもある。

 

こうして、常日頃からいつ戦に出ていいように、自らを鍛えているのだ。

 

武士の本文を忘れぬためには

領内で「島原の乱」が発生した折、藩の家中の武士たちが公儀の命令無く動けぬ間、やすやすと一人、杢之助は鉄砲一つ持って馳せ参じ、下針金作を一撃のもと倒し、一揆鎮圧の一番手柄をたてる。

 

「いくさ人」であり常に「死人(しびと)」である杢之助にとって、抜け駆けなどどうということはないなのだ。

 

この小説中に書かれる杢之助の周囲の登場人物たちも良い。

親友であり、どうにか藩で出世した中野求馬や、杢之助の生き様に惚れた牛島萬右衛門など多くの爽やかで、しかし気骨のある武士たちには好感を持てる。

そしていざというときにはお家の大事解決するため、杢之助の元に命をかけて馳せ参ずるのだ。

 

本書を読んでいると、

「そうか、武士というものは常に死を見据えながら、こうして潔く爽やかに生きていたのか。」

と改めて当時の武士たちの小気味良い生き様をありありと思い浮かべる事ができる。

 

武士にとって死とは生の対極にあるものではなく、生の一部分として存在しているのだ。

 

それをしっかりと自覚し、日々どう生き、そして死ぬか?

ということを、一生懸命研鑽を積み考えながら生きていくことが本当の武士道であるということが、この物語を読んでいて感じることが出来た。

 

葉隠が言いたいこともきっとそういうことなのだろう。

 

まさしくこの本は、

秋の爽やかな季節に是非読みたい一冊である。

 

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