小説 歴史 読書ノート

巨大帝国・漢を作った男たち「史記・武帝紀」に見る男の人生

更新日:

(※この記事は2017/12/13に更新しました)

 

ドラねこ

ちわ!おいさんだよ。

キミは史記をしってるかい?

まいける

シキって季節のことか?

春夏秋冬……

ドラねこ

ちげーよ!

これだから無学なニンジン畑のうさぎさんは…

まいける

だれが!無学なニンジン畑のうさぎさん

ドラねこ

史記ってのは古代中国に存在した司馬遷が書いた歴史書のことだよ。

今回はそんな史記をベースにした北方謙三の「史記 武帝紀」を紹介するのじゃ!

まいける

なんだよ…

今回も北方謙三かよ。

ドラねこ読書ノート・第10回目は「史記 武帝紀」だよ。

 

 

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史記 武帝紀

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前回は北方謙三の「水滸伝」をオススメした。

 

しかし「水滸伝」は何と言っても現在進行形の物語で、

「話も長いし、登場人物も多すぎて読みにくいよ!

という人の声が聞こえてくるように思える。

 

そこで今回は、比較的北方文学の中でも入りやすい、『史記 武帝紀』を紹介しよう。

『史記』とは、司馬遷が中国の歴代の皇帝・尭(ぎょう)や舜(しゅん)、漢王朝を設立した高祖・劉邦などの物語や、家臣たちの逸話を綴った歴史書のこと。

 

しかし、北方版『史記 武帝紀』はそうした歴史書ではなく小説の体を成している。

 

つまり司馬遷の史記を元に、当時の漢王朝の様子を小説にした本なのである。

 

司馬遷が生きていた時代は、

漢の武帝・劉徹が、卑賤の身から成り上がった衛青(えいせい)霍去病(かくきょへい)という名将を得て、

当時、漢最大の宿敵・北辺の蛮族「匈奴(きょうど)」を打ち破るために、北方へ進出する時代。

 

物語はその対匈奴との激戦の歴史を、衛青や司馬遷の目線で話は進んでいく。

皇帝の寵愛を受けた姉を恨んだ皇后に殺されそうになった衛青は、あわやというところでその危機から脱し、

その活躍を耳にした武帝は衛青に興味を覚え、彼を召しあげる。

 

半ば死兵のごとく衛青を試すように、武帝は衛青とその甥の霍去病を将軍として抜擢し、匈奴との戦に当たらせた。

しかし二人は武帝の思いの外、幾度と無く匈奴を打ち破るという快挙をなしとげる。そこから衛青の立身出世の物語は始まる。

 

狂い始める「武帝」とその人々

読んでいておもしろいのは、

この物語はそうした衛青の出世物語で全てが終わるわけではないというところである。

 

この北方版『史記』は、

物語も半ばで大活躍する衛青や霍去病は早々に退場してしまう。

そこら辺は読んでいて少し物足りないところであったのだが、しかし、この史記は水滸伝みたいに血沸き肉踊る戦闘シーンが少ない代わりに、物語の中心はやがて漢の皇帝・劉徹や李陵(李陵 - Wikipedia)や蘇武(蘇武 - Wikipedia)や司馬遷本人に移っていく。

 

その後は王朝の隆盛には多大な犠牲が払われた結果、匈奴は衛青によって国土の10分の1を失いながらも北に追いやられ、衛青も右腕として戦の天分を発揮した天才・霍去病も命を落としてしまう。

 

ここからの武帝・劉徹の人生は暗転を始める。

それ以後漢は、李俊などの獅子奮迅の活躍により匈奴相手に善戦するが、決定的なダメージを与えられずに李陵は匈奴に捉えられ投降してしまう。

 

そんな李俊を劉徹は一族皆殺しという罰を与えた。

 

ココらへんの下りは読んでいて、

なんとも酷いというか、涙を流さずには読めない悲惨なエピソードである。

 

しかもこれは小説オリジナルの創作ではなく、史実なのだ。

昔の中国の将軍も大変だったのだなぁとしみじみ思ってしまう。

宮仕えも大変だw(;´∀`)

 

一方、蘇武は匈奴に和平の使者に立つが、捕らえられ北の地に追いやられてしまう。

北の地で一人で辛酸を舐めながら生きていくことになる蘇武は、それでいても匈奴には最後まで屈せずに、

細々としたそれでいながら素朴に生きていく描写が、読んでいて胸に迫るものがあった。

 

わしはこの史記の中でも、蘇武が北の大地で懸命に生きていくシーンが好きだ。

 

李陵や蘇武など、武帝の周りにいた人間の人生が、物語の後半では少しずつ狂い始めるのだった。

 

司馬遷の恐るべき執筆根性

そんな中、司馬遷は一人「史記」を書き続けていくことになる。

知人であった李陵を弁護したことで死刑を命じられ、減刑の結果、宮刑を受けた司馬遷は「男ではなくなって」しまう。

しかしそんな屈辱に見まわれながらも司馬遷は、父親からの遺言を守り、『史記』を書き上げる決意をする。

 

司馬遷の、その歴史を綴る執念たるや恐るべきものだ。

わしはどこにそんな情熱が湧き上がってくるのかと、

不思議に思いながら文章を書く者として司馬遷に非常な興味を覚えてしまう。

 

その後、漢王朝最大の発展から皇帝・劉徹の人生は暗転の勢いはとまらず、異常なほどの不老不死への執着や、巫子(ふこ)の罪による政事の乱れなどを通して漢王朝は少しずつ腐敗の兆しを見せていくのだった。

 

そんな物語を1ページ1ページ読み込んでいくと、漢たちの熱い物語はワシの血肉となったような気がした。

 

こんな物語が、本当にあったのだ…(´;ω;`)

涙なしには読めない本、それがこの史記・武帝紀である。

 

すべてを読み終わったわしは、本をそっと閉じておいた。

 


びっくりするほど売れてますw
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