BOOK 小説

ガラスの街の向こう側は……?

更新日:

(※この記事は2017/4/25に更新しました)

ドラねこ

ちわ、乱視の猛虎ことおいさんだよ。

キミは奇妙な推理小説を読んだことはあるかい?

奇妙な推理小説?

まいける
リク

怖い話なの?

ポポポ?

ポコたん
ドラねこ

う~ん、怖い話というか、一見変わった探偵物語といったほうがいいかな?

一見変わった探偵物語?

よくわかんねぇな。どこが変わっているんだよ?

まいける
ドラねこ

というわけでドラねこ読書ノート第21回目の今回は、

ポール・オースターのニューヨーク3部作の第1弾「ガラスの街 (新潮文庫)」を紹介するのじゃ!

ガラスの街

本来このポール・オースターという作家を翻訳しているのは村上春樹氏を読んでいる人はご存知だろう、柴田元幸さんという翻訳家なのだ。

だがポール・オースターの初期の作品だけ「シティ・オヴ・グラス」として何故か別の方が訳しているのだが、今回は柴田さんの「ガラスの街」を取り上げる。

次にポール・オースターについて語ってみよう。

著者説明

ユダヤ系アメリカ人でアメリカ小説家詩人として活躍している。

1985年から1986年にかけて発表した『シティ・オヴ・グラス』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』といったニューヨークを舞台にした一連の作品をまとめた「ニューヨーク三部作」(1987年)で大きく評価される、一応は現代アメリカを代表する大作家(!)となのである。

わしはこのポール・オースターが大好きでこの「ガラスの街」を読んで以来、彼の作品にハマっているのだ。

 

ではその処女作である「ガラスの街」とは一体どんな物語か?

下記にあらすじを述べてみよう。

あらすじ

主人公・クィンはそこそこ売れている推理作家。

そんなクィンの元にある時「探偵のポール・オースターに事件を解決して貰いたい」という間違い電話が掛かってくる。

クィンは人違いであることを告げてその電話を切るが、その電話に何かしらの引っかかるところがあり、何度もかかってくる電話についには自身がポール・オースターであると嘘をついて、依頼人に会うことにする。

待ち合わせの場所に出向くと、

そこにいた男は一切の光と成長の機会を奪われて大人になったピーター・スティルマンと名乗る青年だった。

彼は父親から残酷な虐待を受けていて、口にされる言葉は支離滅裂で容量を得ない。

しかしそこから推測されるおぞましい過去の出来事を知ったクィンは、ピーターの妻・ヴァージニア・スティルマンから懇願され依頼を受けることにする。その内容は「精神病院から出所する実の父ピーター・スティルマンを息子のピーター・スティルマンに近づけないでほしい」というものだった……

 

作者が探偵?

ん?探偵のポール・オースター?

そう、この小説では、本の作者であるポール・オースターが探偵として登場するのだ(しかしそれはまた違う展開になるのだが…)

 

何度も自分宛てに掛かってくる間違い電話にいつの間にか心惹かれるクィンが、

ついにガマンできなくなってその電話に対して自分がポール・オースターであるとウソをついて事件を請け負ってしまうところから物語は一種異様な状況から始まる。

 

そして二人のピーター・スティルマン、父と息子の複雑な物語が予想もつかない結末へクィンを向かわせるのだった

 

クィンは探偵ポール・オースターになりすまして事件を解決しようとするのだが、果たしてこの顛末は・・・?

 

探偵モノではない探偵

本書は一言で言ってしまえば探偵ものである。が、ただの探偵モノではない

 

これらの作品は謎とそれを解く手がかりとで構成された従来の推理小説とは明らかに違う。

……なんてことを書いても読んだことのない人には何のことかよくわからないだろうけどw

 

ようするにこの作品は、

事件が起こって、

名探偵が出てきて、

証拠を集め、

いささか都合の良い出来過ぎたトリックを暴く!(犯人はオマエだ!)

的な従来の推理小説ではないのだ。

 

訳者もあとがきでこのように記す。

探偵物語が伝統的に満たしてきた条件が、この小説でも満たされるものと期待して読むなら、たしかにこれほど奇怪な「探偵小説」はない。事実はいっこうに明らかにならないし、「探偵」は何ひとつ解決しない。

「探偵」の行動に表面的な意味での一貫性はなく、むしろどんどん理不尽になっていく。

「ガラスの街」p217

そうこの主人公のクインは何ひとつ事件を解決することはない。

なぜなら彼は本物の探偵でなく、半ば興味本位で探偵になりすました男だからだ。

 

一言でこの推理小説を言うと事件が起こらない推理小説なのである。

え?事件が起こらない?そう、事件はそもそも起こらないのだ。それは結果として…

そんなの面白いの?キミはそう思うかもしれない。けれども読み進めていく内にこれが面白いのだ!

 

そもそも作者自身でが探偵として出てきてしまうという設定がまずおもしろいw

 

ここから先は自らの目で本書を読んでもらうとして、この作品は探偵モノで有りながらどこかミステリアスな雰囲気を醸し出しながらも、それでいて従来の伝統的な推理小説にあるような謎解きは何もなく、主人公のクインは絶望的な結末に遭遇する。

 

そして彼はニューヨークというガラスの街に消えてしまう。

……いや、溶けてしまうというべきか。

 

ポール・オースターの透明感あふれる文章と、

時折挟まれる暴力的なまでに散漫とした文章の代わる代わる波打つような「うねり」もおもしろい。

どこまでも興味の尽きない物語として最後まで読み進んでしまうこと間違いないだろう。

 

そこに、明確な「答え」がなかった、としても……

 

興味が湧いたら図書館でもなんでもよいから是非手にとって読んでもらいたい。

アナタが思っているような推理モノではないことが、きっとわかっていただけるだろうから。

 


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