(※この記事は2018/5/8に更新しました)

こんちわ、おいさんだよ。
キミはおおかみの子供がいたらどうする?
は?


おおかみは怖くないの?
ポポポ!


う~む、今回紹介する映画は「オオカミが怖い」というイメージを覆した作品と言っても過言でないだろうな。
「おおかみこどもの雨と雪」か。


そこで今回は、「おおかみこどもの雨と雪」について語ってみたいと思うのじゃ!
子供が観る映画ではないですねw
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本日選んだ作品はアニメです。
これはもうちょうど一年前の作品ですよね。
わしは細井守監督の作品は「サマーウォーズ」から入ったんですが、いやぁ、改めて細井監督の作品は素晴らしい。
去年、公開されていた時はほとんど食指が動かなかったけど、今回DVDで観て、
「しまった!劇場で観ればよかった!Σ(゚д゚lll)ガーン!」
と後悔しましたw
まず、細井作品は大体アニメ―ション美術が素晴らしいということ。
背景が美しく書き込まれていて、わしも絵を描く身としては、どうやったらあんなにうまく描けるのだろうと、関心してしまいました。
そして細かい設定がうまいですね。
作品にはおおかみ男がでてくるのですが、いわゆるオオカミ=悪(赤ずきんちゃんのおばあちゃんを食べてしまうような悪いやつ)というようなステレオタイプな設定で描かれずに、殺されたり迫害されたりしないように現代で密やかに生きていくオオカミ男の姿として描かれている点が素晴らしい。
そんな風にオオカミ男を一種のマイノリティとして描いていると、観客としても自然とオオカミ男に感情移入してしまうし、その後の花と子どもたちの姿も応援したくなってしまいます。
ここらへんが、
この映画の一つのポイントになっているんだなと思いました。
しかし、そんなオオカミ男も花と子供ができたあと、すぐに死んでしまうというショッキングな展開に、
「これは、子供が観る映画じゃねぇな・・・(;´∀`)」
と開始15分ぐらいで気づきましたw
実際の劇場ではどうだったのでしょう?
子供は大勢見に来ていたのかな?
だとしたら、どんな反応を示していたんだろう?
それにしても姉の「雪」と弟の「雨」の姿がかわいいですねw
特に物語の前半で出てくる小さいころの雪が可愛くて、よくいたずらをしたり、わがままを言って画面を一周すると、小型犬みたいなちいちゃなオオカミになったりする姿を見ると、可愛らしくてほっこりしてしまいますw(*´∀`*)
母は強し。おかあちゃんはエライ!
そしてこの映画で関心したことは、そんな逆境にも負けずに強く女手一つで子どもたちを育てようと奮闘する花の姿でした。
田舎に引っ越したあと、子どもたちと一緒に家を直したり、畑を耕したり、遊んだりと一生懸命「子どもたちと生きる」花の姿に、
「ああ・・・かあちゃんはすごいんだな。(´;ω;`)」
素直に感動してしまった。
また途中で畑仕事に途方に暮れている花をぶっきらぼうながら助けてくれる韮崎(にらさき)のじいちゃん(声 - 菅原文太)がいい味を出していますね。
そのじいちゃんの選んでくれた野菜がやさしいこと!
独学で野菜作りに奮闘しながらも失敗ばかりの花に、じいちゃんはじゃがいもを作ることを教えてくれるんですが、このじゃがいもというチョイスがいいですね!
じゃがいもなら初心者でも簡単にできるし、何より保存が効いて、食べ物に困っても飢えに苦しまずにすむ。
そんな韮崎のじいちゃんのやさしさが、あの野菜に現れているように思えました。実際、口は悪いけどいい人なんですよねw


狼として生きていく弟
しかし、物語の後半では意外な展開を見せていく。
なによりも目を瞠るのは、物語の最初は行動的で活発な姉の雪が、小学校に上がって人間の中に埋もれて行くと、他の女の子と自分との違いに気づいて(蛇を素手で捕まえるような女の子はいないw)
自身の中に宿っていた「野生」がみるみる消えていき、女の子として成長していく。
そんな姿に、
「なるほど。やはり雪は女の子として生きていくのか」
と納得してしまいました。
実際、物語のエンディングではああした生き方を選んだ雪は、その後、幸せになれたんじゃないかなと思います。
だって好きな人ができて、結婚して、子供ができたとしても、今度は子育てを教えてくれるお母さんという立派な先生がいるんですから。
反対に、気が小さかった弟の雨は学校に馴染めず、いつか半不登校児になり、一人で山に入って先生と呼ぶキツネを師事してオオカミ本来の「野生」を取り戻していく。
そんな雨がオオカミとして生きていく道を選び、一人前の男になっていく姿に、わしは驚かされました。
最初は姉にイジメられたりしてよく泣いていた雨が、立派な男として母の元を去っていく。
お母さんにしては切ないけれど、人間世界に馴染めない雨にとっては、やっぱりあの選択が良かったのかな。
そんな二人の成長に、花ともども見ているこちらは驚きの連続なのだけれども、ラストの衝撃の結末に、
「やはり、ああなって結局は良かったんだな」
という安堵感を覚えました。この映画は、間違いなく名作ですね。
出来れば、結婚したてのカップルに観て欲しい映画だね。