

ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミはフォトバッシュは知っているかい?
なあ、背景って描くのダルくね?
もうAIに任せたほうが早いだろ。


お前、それでも絵描きと名乗るつもりか?
いやオレ絵描きじゃねえし!
だって、パースとか光とか難しすぎんだろ!


だからこそ、フォトバッシュなのじゃ。描かずして魅せる技術があるのよ。
え?それって合法なの?

\ ココがポイント!/

『フォトバッシュ入門』は、背景や風景イラストに苦手意識をもつイラストレーターにとって、最短で“それっぽく描ける”ようになるための実践ガイドなのじゃ!!
CLIP STUDIO PAINT PROを使い、写真素材を合成しながら絵に馴染ませるテクニックを基礎から解説。単なる“貼り付け”ではなく、パース、ライティング、色調整といったプロの視点が織り込まれており、イラストの完成度が格段に上がる。実例とチュートリアルを豊富に含み、「どうすれば自然に見せられるか」が明確に示されている点も評価が高い。背景を描くことに挫折した経験がある人ほど、この本の価値を実感するだろう。
“描けない”を“仕上げられる”に変える画力支援の一冊である。
フォトバッシュ入門
今回始めてこうした実用書を紹介しよう。
その名も「フォトバッシュ入門」という背景画をうまく描きたい人のための本。
ずっとここ3年ほど背景画をうまく描きたくて、ブログなどでも500枚チャレンジなどという企画で風景画をコツコツ描いてきた。
ただやはり独学で描いていっても限界がある。というか、自分の才能の無さに毎回愕然としてしまう。なのでなんとなく使えそうな実用書をいくつか探していた。そこで初心者が手っ取り早く使えるだろうと判断したのがこの「フォトバッシュ入門」という本。
本書を店頭で見つけたときはそれこそ衝撃を受けたが、以下にこの本がどのようなものか説明していこう。
写真をステンシルのように使って風景画を描く
「フォトバッシュ入門」はフォトバッシュという「写真を使って絵を描く技術」を懇切丁寧に解説してくれる本である。
「フォトバッシュ」とはどんな技術かというと、ピクシブなどのお絵かきサイトでやたらにリアルな風景画をイラストに描いている絵師などがいるが、ああした絵のことである。身近な例で言えば新海誠作品の背景などがわかりやすいか。
ページをまずパラパラ開いてみると、構図の捉え方、写真を使って色んな構図の絵の作る方法をざっくりと解説してくれる。
フォトバッシュという技術を具体的にいうと、写真の上から加筆してイラスト風の絵に仕上げていく方法もあるが、本書はどちらかというと写真をステンシルのように切り出してベースになるシルエットに彩度・明度を抜いた白黒画像を選択範囲で切り抜いて、写真と同じ模様を写していく描き方をベースに解説してくれる。
これを使うと驚くほどリアルな絵が初心者でもあっという間に描くことができる。
難しい町並みの描き方や、木の葉っぱ一枚一枚をリアルになるのだ。
だが、写真を使って絵を描くという方法は、なんとなく手抜きをしている「ズルい」方法だと思われるかもしれない。
だが本書を実際に読めばわかるが、本書は写真の上から色を重ねていくような描き方ではなく、あくまで選択範囲で型抜きして描いていくというやり方が主流になるためまだ手書き感はある方である。
「楽をしている」という印象もあるかもしれないが、それでもなんの専門教育を受けていない一素人が、難易度の高い風景画を描こうとするのなら、こうした写真を使って絵を描くという方法はかなり有益であると言っていいだろう。
手っ取り早くリアリズムが身につくし、写真をお手本に絵を描くことによって、どのように描けば魅力的な風景画ができるのか?というポイントを抑えることができるので、絵の技術力を高めてくれることは間違いないだろう。

絵を描き慣れていない初心者にはうってつけだよね!
でもこれ絵を「描いている」っていうのか?

絵を描く喜びが半減?
注意ポイント
ただ「フォトバッシュ入門」の注意するところとして、本書に書いてあることをそのまま実践しても、写真のような絵が出来上がってしまうだけで、絵を描く楽しみはなくなってしまう。
そしてこれだけではやはり根本的な絵の技術を挙げることにはつながらないだろう。
絵をうまくするには努力が基本ベースにあることは間違いないものの、写真をすべて使っていたのではものの描き方がわからないし、空間認識や色の使い方など絵を描く際に大切な要素をまるまるなくしてしまっては話にならないと思う。
それは実際にわしが本書に書かれている方法で絵を描いてみて実感したことなのだが、完成した絵はやはりアニメの背景やマンガの背景とはまた違った感じになってしまい、どうしてもデジタル臭・写真感が拭えないw
つまりこれだけでは新海誠の映画に出てくるような風景画にはならないのである。
なのでやはり、アニメーション美術やリアル系背景画とは何かということを意識して描かねばならない。だが残念なことに本書ではそのような絵の描き方は載っていない。
そう、これだけでは超えられない壁が厳然とそこにはある。
そして実際にフォトバッシュは描いてみるとすごくつまらない。
すぐに終わってしまう。
まずはベースとなるシルエットを描いて、その上に写真をグレースケールに変換して選択範囲で抜いて描くという方法は思いの外早く完成してしまって達成感のようなものがないのだw
これはこれで絵がうまいといえるのかもしれないが、写真そっくりに絵ができるのでやっぱり描いていて、楽しくはないし、努力に見合う報酬を満たしてくれるような感覚もないので早々に飽きてしまう人もいるかもしれない。
なので使い方はほどほどに、こんな技術もあるんだなという感覚で本書を呼んでみるのはどうだろう?
その上に自分でどのように自らの工夫を凝らして写真感を消すかがポイントになると思う。
本書はある程度絵描きとしての技術力のベースは底上げしてくれるのだが、そこから先に進む場合は、やはりこれ一冊では背景画がうまくなるという思うのは難しいだろう。
ただ、まったくの素人で今ままでデジ絵で背景を描きたいのに描き方がわからないという人は、ここに書かれていることを実践しても損はないだろう。
良いところ
あらすじ
本書は写真を素材として取り込みながら、イラスト作品に自然に組み込む「フォトバッシュ」技法を初心者にもわかりやすく解説している一冊である。
使用ソフトはCLIP STUDIO PAINT PRO。構図設計やパース合わせから始まり、写真の選定、レイヤー操作、ライティング・カラーバランスの調整方法まで、段階的に技術が習得できる構成となっている。読者は模写するように練習を重ねながら「写真に頼りながらもオリジナルの世界観を創り出す方法」を学ぶことができる。特にプロ作例のビフォーアフターが秀逸で、「どこからどう変化させているか」が可視化されており、即戦力となる内容が詰め込まれている。
背景が苦手なすべての人にとって実践的で頼れる入門書である。
では以下に良いところを挙げていこう!
実践に即したステップ解説が秀逸
本書の最大の利点は完全に“実務ベース”で構成されている点にある。
たとえば「空の写真を取り込む」「遠景をボカす」といった工程が、手順書のように明確に記されている。初心者が迷いやすいレイヤー操作や、CLIP STUDIOのツール設定も丁寧に解説されており、ソフト操作に不慣れでも手を動かすことで学べる構造だ。
理論ではなく「とにかく手を動かせば実感できる」点が本書の強みである。
写真とイラストの“なじませ方”にフォーカス
単に写真を背景に貼るだけでは“浮いた”印象になりがちだが、本書では“なじませる”ことに徹底的にこだわっている。
色相や明度の調整、陰影のつけ方、描き込みとぼかしのバランスなど、プロがどう“絵として仕上げるか”という感覚が理屈と一緒に理解できる。これにより、フォトバッシュ=ズルいというイメージを払拭し、“描写技術の一部”として昇華させている。
背景が描けない人への強力な武器になる
背景は時間がかかり構造把握も難しい。
しかしフォトバッシュを活用すれば、限られた時間でも“それなり”に見せる画面が作れる。本書は背景描写の苦手をカバーする手段として非常に実用的であり、プロ・アマ問わず「完成度を上げる近道」として使える。特にコンテスト提出や仕事で時間制約がある人にとっては、労力対効果の高い技法である。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
写真素材の著作権に関する説明が薄い
実践的な内容が豊富な一方、素材利用時の著作権に関する注意点があまり強調されていない。商業利用やSNS投稿を前提にする読者には、法的な扱いや利用ルールについてもっと明示してほしいところである。
デジタルソフトに不慣れな人には難易度が高い
CLIP STUDIO PAINTにある程度の慣れがないと操作に戸惑う場面も多い。初級者には操作方法の理解に手間取り、本質的な技術に到達する前に挫折する可能性があるだろう。
スタイル依存で応用が効きにくい場面もある
“フォトバッシュ的”な世界観(リアル寄り・写実的)に偏っており、ファンタジーやアニメ調の画風を志す人には応用のコツがつかみにくい面もある。汎用性という意味では、多少のスタイル制約を感じるかもしれない。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- CLIP STUDIOで背景を描くのが苦手な人
- 写真を活かしたイラストを描きたい人
- 時間をかけずに絵の完成度を上げたい人
『フォトバッシュ入門』は「描けない背景」を「仕上がる背景」に変える強力なツールであり、イラスト初心者から中級者に向けた非常に実践的な一冊である。写真を活用するという発想は、効率的でありながらも技術が必要であり、そのノウハウを丁寧に伝えてくれる。特に“なじませる”感覚の解説は秀逸で、視覚的な理解が深まる。多少の前提知識は求められるが、それを補って余りある内容が詰まっており、背景描写の苦手意識を払拭したいすべての人にとって、確実に力になるガイドである。

描けぬなら、素材を活かせばよいのじゃ。
絵とは創造、写真とは構築──ふたつを結べば、道は拓けるのじゃぞ。