ちわ、おいさんだよ。
キミはアメコミは好きかい?
まあ、好きな方だな。
スパイダーマンやバットマン。
今いろんなアメコミが次々とハリウッドで映画化されているよなw
うむ。
わしもアメコミは大好きで見れるもんだけたくさん観ているんだけど、ドラねこ読書ノート第31回目はわしが大好きなアメコミやアメリカの文化について書かれているユルい本「キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)」をご紹介するのじゃ!
前回まではこちら
だらしなくうまく生きていこうよ。という話(*´ω`*)
キャプテン・アメリカはなぜ死んだか
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なかなか過激なタイトルである。
だがこの本はアメコミヒーローのことだけを書いた本ではない。
本書は「USAカニバケツ」を書いた町山智浩氏が、前作に続いて日本のメディアが伝えないアメリカの変な現実を100編ほどコラム形式で綴られた本である。
これを読んでいるとなかなか楽しい。
遠い異国で巨大な国という印象を持つアメリカの内実がこの本を読んでいると色々分かってくるのだ。
今回はその中でも少し変わったお話をご紹介しよう。
スーパーマンの起源はユダヤ人にあり
以前もこのブログで紹介した「オタク・イン・USA」や本書のように、町山智浩さんはアメリカの変な日常を独特のユーモアを交えて綴っていく。
そんな中、ペラペラとページをめくっていると、スーパーマンについてのおもしろい記事が載っていた。
「スーパーマンと力道山」という文章を少し引用してみたい。
実際、スーパーマンはキリストと同じく、ユダヤ人を生みの親にしている。
先日、アメリカで『Up,Up and Oy Vey!』という本が出版された(中略)「いかにしてユダヤの歴史と文化と価値がコミックブックのスーパーヒーローを作ったか」という副題どおり、本書はアメリカン・コミック作家の圧倒的多数がユダヤ系であることを指摘し、超人ハルクやXメンなどの背後に隠されたユダヤ系の民族意識を読み解いていく。
スーパーマンは1938年、ジュリー・シーゲル(ストーリー)とジョエル・シャスター(絵)によって想像された。
二人は工業都市クリーブランドで働く、東欧出身の貧しいユダヤ系移民の子供で、スーパーマンの物語はユダヤの苦難の歴史を反映させた。
まず、スーパーマンの故郷の惑星クリプトンが爆発して消滅し、スーパーマンは宇宙の孤児となる。それはユダヤ人が祖国を失って世界に離散した事実を反映している。
故郷喪失直前に産まれたスーパーマンは「カル・エル」と名付けられる。「エル」はヘブライ語で「力」または「神」という意味だ。
赤ん坊のカル・エルは両親によって脱出カプセルに乗せられて宇宙に向かって射出され、アメリカの田舎に落下する。そして子供を欲しがっていた農民夫婦に拾われて息子として育てられる。これはユダヤの指導者モーゼの出生を模している。エジプトでユダヤ人の新生児が皆殺しにされていた時、モーゼは生まれてすぐに籠に乗せられてナイル川に流され、エジプト王の娘に拾われてエジプトの王子として育てられる。
カル・エルはクラーク・ケントというWASP(ワスプ。ホワイトアングロ・サクソン・プロテスタントの略)風の偽名を名乗って地球人のふりをして暮らしている。60年代までユダヤ系は差別を避けるため、世間の表舞台に出る時はWASP風の通名を使っていた。イーズル・ダニエロヴィッチがカーク・ダグラス、ドリス・カッペルホフがドリス・デイという芸名でスターになったように。
クラーク・ケントは度の強いメガネをかけて、内気で気弱なウディ・アレン的なユダヤ系のステレオタイプを演じているが、いざという時は星条旗と同じ赤、青の色使いのコスチュームとマントを着て戦う。彼のモットーは「真実と正義のアメリカン・ウェイを守る」だ。
常に星条旗を背に立つスーパーマンの姿は、ヨーロッパで2000年も迫害されてきたユダヤ系が、自由と平等をくれたアメリカを守るため、時に過激なまでに右翼的、愛国的になることを象徴しているようだ。
以上のようなスーパーマンのユダヤ性にアメリカ人はまるで気づいていなかったが、ナチス・ドイツはさすがに敏感で、宣伝相ゲッベルスはスーパーマンをユダヤ的だと決めつけて禁書にしている。
この本を読んで思い出したのは力道山だ。朝鮮人でありながら日本人の愛国心を鼓舞して国民的ヒーローになった力道山は、日本のスーパーマンだったのだ。
「キャプテン・アメリカはなぜ死んだか?」 p220より
知らなかった。
スーパーマンの影にユダヤ系の過酷な歴史があったとは…
それにアメリカンコミックの作家にユダヤ系が多いことにも驚かされた。
日本とはぜんぜん違うユダヤ系独自の歴史的背景があって、あのようなスーパーヒーローたちが生み出されていたのだ。
そう、彼らの過酷な歴史が今のアメコミを支えていたといっても過言ではない。
ユダヤ系の文化的層の厚さ
そういえばユダヤ系って他にも色んなものを創りだしているよね。
マンガだけではなくて、文学ではポール・オースターなどもいるし、ジョージ・ルーカスもユダヤ系じゃなかったっけ?(^^ゞ。
アメリカはそれだけ層が厚いってことなんだろけど、それでもこの本には他にも様々なハリウッドセレブのお馬鹿な現実や、貧しい貧困家庭のおバカ事情などが網羅されている。
むしろそっちの話がメインでなかなか笑わせてくれる。
もう、ホントにバカばっかり!w(*´∀`)
なんかここまでバカぞろいだといっそ清々しいわwww
アメリカは本当に広いなぁと感じさせてくれる痛快な一冊だった。
本だけでアメリカを学びたいというアナタは是非試してみよう。