
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミは瓦礫を使った森は好きかい?
瓦礫をただ捨てるだけじゃダメだろ


瓦礫を森に変えるとは、実に興味深い案なのじゃ
瓦礫を基盤にして苗木を植える“緑の防波堤”って、マジで効くのかよ?


東日本大震災でも、元々生えていた“本物の森”が津波に耐えた証拠があるのじゃ。
マジか、そんなやり方があんのか⋯!

\ ココがポイント!/

瓦礫を棄てずに再構成し、土地本来の植生で苗木を植える“森の防波堤”構想は、防災・復興・環境保全の三立において強力な解決策なのじゃ!!
本書『瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る』著者・宮脇昭氏は、東日本大震災後、瓦礫を再利用した植樹によって南北約300kmにわたる緑の防波ライン構想を提唱。4,000万本もの苗木を植えることにより、津波に強い多層構造の森を再生し、次なる災害に備える緊急の提言である
瓦礫を活かす森の防波堤
森が好きである。
子供の頃から近所に森(林?)があるので幾度と無く鎮守の森がある風景には親しんできた。
保育園にいた頃は近所の森によくどんぐりなんか拾いに行ったりしたものである。
そんな森がわしの家の近所にはまだたくさんあって、今でもなにかと季節を感じさせてくれたりするのだが、いまやそれが世界規模でなくなりつつある。
もちろん、日本も例外ではない。
『増補新版 瓦礫を活かす森の防波堤』はそんな地球環境に警鐘を鳴らす本である。しかし、ただそれだけではない。
今までにも環境問題を啓発する本は世にたくさんあった。
古くはレイチェル・カーソンの『沈黙の春』などもその類だろう。
しかし、そういった「環境問題を扱った本」というのは内容が難しく、またいざ実践しようにもわしら一般人には全く不可能なことが書かれていたりするものである。
だが、本書は誰でもできる「ほんものの森」を植えることを提唱しているのだ。
ほんものの森を植えよう!
その土地本来の植生による「ほんものの森」は、東日本大地震による津波に負けず生き残った。
その防災力に着目した著者は、震災直後に、瓦礫を利用した長大な森の防波堤を築くことを提言。
この逆転の復興プランは、その後次第に官民の理解を得始めている…!
愛する者を守るために木を植えよ。
今こそ危機をチャンスに変え、瓦礫を利用して、東日本大震災の被災地に9000年続く、世界に誇る南北300キロメートルのいのちの森をつくり、今後も襲う大災害に耐えて発展できる復興のシンボルとする―4000万本の木を植えてきた著者が示す、逆転の発想による震災復興プラン。
愛する者を守るために木を植える…なかなか壮大なプロジェクトである。
では「ほんものの森」とは一体どんなものか?
ここでその具体的な方法を本書から抜粋してみよう。
- 震災によって出た大量の瓦礫。その利用可能なものと、毒と分解不能なものとを分別した、それを以外の土の混ざった木質がれき、レンガ、コンクリートの破片などは、全てをエコロジカルにもっとも有効な地球資源として活用する。(大事なことは根群は呼吸しているという点である。深根性の樹種群の根は、土中に十分に酸素があれば、我々の実験でも土中深く4〜6mまで入る。コンクリートなどがれきも人の頭くらいに割れば、根群が抱くので強風・津波などでも容易に抜けない。土が堅くしまっていたり、また地中に水がたまると根が入れない。がれきと土を混ぜることによって、すき間ができ、土中の酸素が維持でき、森の生長を確実にする)
- 穴を掘って発生土とがれきをしっかり混ぜながら、その土地本来の常緑広葉樹(タブノキ・スダジイ・シラカシ・ウラジロガシ・アカガシなどを主木とする)の根群の充満したポット苗などの苗木を植える通気性のよいマウンド(植樹地)を作る。マウンドの幅は10m以上(できれば50〜100m、可能なところはそれ以上。マウンドの幅が広いほど。高さが高いほど、防災機能は倍加する)そこに根群の充満した、樹高30cm足らずの常緑広葉樹の苗を混植、密植する。
- その苗木は15年〜20年で多層群落の森に生長し、最終的には高さ20m、条件がよければ30m近く伸びて、安定度の高い多層群落の柔構造で堅固な「森の防波堤」になる。今後も必ず襲うあらゆる自然災害、大きな津波に対しての破砕効果も高くなる。
- 植樹当初の30cmの苗木は乾燥重量300gぐらいだが、生長して2トンになるとすると、その半分の1トンはカーボン=地球温暖化の元凶といわれる炭素を吸収、林内に固定。いろいろな樹種を混植するので生物多様性の維持にも役立つ。CO2削減、温暖化抑制にも役立つ。
- こうしてできた「森の防波堤」は、環境保全林や地域の観光資源となり、さらに80年から100年で超高木に生長したタブノキ、シイ、カシ類などをていねいに択伐して、焼かない、捨てないで家具や建築材として活用すれば、経済効果も十分に見込める。林内に後継樹がひしめいているので、直ちに生育して、その空間をうめる。したがってスギ、ヒノキの客員樹種の単色林と異なり、防災・環境保全機能は、皆伐・破壊しない限り次の氷河期まで9000年は、地球経済と共生した、いのちの森として継続する。
すごいな、9000年も続くんだ(゜o゜;
なぜタブノキやシイ、カシ類の常緑広葉樹が防災力があるのか?
宮脇昭教授は言う。
それは、地中に深く根を張って、護岸の役割を果たし、たとえ地上部が伐採されても根本から萌芽、株立ちして再生するためで、かつ、冬でも常緑で水を含んでいるために四季を通して再生萌芽し、火災林の役割を果たすからだ。
昔の日本人は、常緑広葉樹が持つこのような火防林や防災林としての働きを、経験的に知っていたのである。
こうした木々が「森の防波堤」として地域を守る存在になるのである。
しかし近年、そんな「鎮守の森」も、世界規模で年々減りつつあるという。
環境考古学者の安田喜憲氏は、アメリカ大陸にあった原始の森は、家畜の民であるアングロサクソンが入植してからわずか300年で80%以上が破壊され、かつては森の国であった中国も、漢民族の爆発的拡大の中で徹底的に破壊され、今や森は国土のわずか10%前後を占めるに過ぎないと指摘している。
え!なんてこった!もう80%も木々が減っているんだ。
なんとこの国々では現在あと20%以下しか森が残ってないという!(゜o゜;
鎮守の森の正体
それでは日本はどうかというと、
日本は稲作が導入されて、過去二千数百年の間に開発された水田は、国土の10%にも満たず、およそ70%程度は今日なおいわゆる森に包まれたままである。
そうした常緑広葉樹を日本人は「鎮守の森」と呼んでいた。
よく考えてみれば確かに神社の周りには多くが森に囲まれている。
それは単に景観保護のために植えられていたのでなく、代々、森が様々な戦火や災害から人を守ってくれるから木々を大切に、神様を祀って森を守ってきたのである。
そうか、わしの大好きな神社は、長い間静かにずっと日本人を見守り続けてきたのか…
今こそ!防災の為に、そして地球環境の為に「鎮守の森」を植えていかなければならない!
本書を読んでいたら、わしも大好きな神社仏閣のためにも「鎮守の森」を是非植えてみたくなった。
昨今、地球規模で起こっている異常気象や森林破壊、温暖化などを食い止めるため、この本を読んで「鎮守の森」のことをもっと深く知り、是非みんなで協力して「ほんものの森」を植えていこう!
もし、アナタの周りで植樹祭などが行なわれていたら、参加してみてはいかがだろう?
良いところ
あらすじ
本書はまず東日本大震災を経て残った“本物の森”が津波の侵攻をどれだけ防いだかを科学的・実地的に分析した上で、瓦礫処理と復興という問題を一挙に解決するプランを提示する。
具体策として、瓦礫を単なる廃棄物ではなく、地盤強化資材として活用し、上に良質な土をかけて苗木を植えることで“森の防波堤”を形成する。著者はこれにより多層構造の広葉樹林を再生し、津波エネルギーを減衰できると説く。さらに、日本国内外の植樹実績(4,000万本以上、1,700か所超)と歴史的事例(山下公園の瓦礫埋立など)を紹介し、行政の法規制と住民の懸念への対応についても詳述している。最後に、9,000年続く森という壮大なビジョンを掲げ、「愛する者を守るために今すぐ木を植えよ」と締めくくる。
では以下に良いところを挙げていこう!
科学と実践に裏打ちされた信頼性
瓦礫利用や植樹に関する提言は著者が指導した実績(4,000万本・1,700カ所)と具体的データを土台にしており説得力が高い。
単なるアイデアではなく、フィールドで実証された論拠がある点が評価できる。
多層構造の広葉樹林による防災効果
広葉樹は根が深く張り、密度の高い多層構造は津波の力を緩和する効果があるとし、自然の生態系を活かす設計がうまく構成されている。これにより「本物の森」による防災力の高さを科学的に示している。
法制度・行政対応への提案も含む実用性
瓦礫埋設には産業廃棄物規制など法的・社会的障壁があるが、それを乗り越えるために必要な整理とケーススタディ(例:山下公園)を示し、「やればできる」の姿勢に道筋をつけている。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
地方展開の具体ロードマップが薄い
規模や構想の壮大さに対し、個別地域ごとの実施手順や費用見積の記載が乏しく、自治体単位での実現性は読者にはつかみにくい。
環境リスクの深掘りに不足感あり
瓦礫の分別や有害物の除去に関する記述はあるが、土壌汚染や地下水影響などの詳細なリスク評価や対応案はあまり展開されていない。
住民との協働モデルが曖昧
青年塾などの事例があるものの、地域住民や漁業関係者との対話型モデル構築に関する提言がもう少し具体的だと、現場での導入が容易になると思われる。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 防災・復興に関心があり、実証データに基づいた解決策を知りたい人
- 地域の環境再生や植樹ボランティア活動に参加・企画を検討している人
- 行政・地域団体で防災政策プランを検討している自治体職員や研究者
瓦礫をただ処理するのではなく、それ自体を資源として新たな森に再生し、次なる津波災害に備える“森の防波堤”構想は、防災と環境保全、地域復興を同時に実現する革新的なプランである。著者・宮脇昭氏は、自らの植樹実績とフィールドでの観察を基に、自然の力を最大限引き出す森林構造を提唱し、行政・住民双方に訴えかけている。その壮大さゆえに、導入には調整すべきハードルや細かい実施計画、リスク評価が必要だが、本書はそれらの議論の出発点として有力な材料を提供している。これからの復興・防災政策において、瓦礫を「森」に変えるという逆転の発想は、大きな可能性を秘めており、多くの人に読まれるべき一冊である。

自然の力を信じ、瓦礫に命を吹き込むこの構想こそ、我々が未来に遺す真の防波堤なのじゃ。