
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミは色彩と光の関係を知っているかい?
色とか光って感覚で描いてるだろ?


そんなことはない。
ちゃんと理論があるのものなのじゃ。
マジで?
そんな理屈で描けるもんなの?


『カラー&ライト』を読めば、感覚が理論になるのじゃよ
なんか今回は難しそうな本だな。

\ ココがポイント!/

『カラー&ライト』は、ジェームス・ガーニーによる色彩と光の本質を解説した画力向上の決定版なのじゃ!!
美術解剖学や構図といった他の領域ともつながる“根源的な視点”を提供しており、単なる「塗りのテクニック本」ではない。物理的な光の性質や、人間の視覚メカニズム、そして観察に基づく実践的な技術が高密度に詰め込まれており、読者の色彩感覚を体系的に底上げしてくれる。理論と実践が一体化しており、読めば読むほど「なぜ自分の絵はパッとしないのか」が明確になる構成だ。アナログにもデジタルにも対応した普遍的な内容で、初心者はもちろん、プロの再学習にも価値がある。
色と光の“仕組み”を知れば、絵は確実に変わる。それが本書の最大の力である。
これでリアリズムもバッチリ?
絵がうまくなりたい。
その一心で色んな参考書を参照しつつ、日々研鑽に励んでいる。
前回もアニメーション美術の描き方の本をいくつか紹介したが、今回はアニメのような狭い枠に捕らわれない美術全般に役立つ本をご紹介したい。
それがこの「カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~」である。
本書を手に取る前は表紙の絵を見て写真か何かかと思ったけどそうではない。
実はこれ「絵」なのである。
その事実に気づいてしまうと、リアリズムを極めるとここまで美しい絵が描けるのかと驚嘆した。
それでは本の中身を解説していこう。
開封の儀
いつものように楽天で購入して待つこと数日。ブツはやってきた。
中のセロファンを破いて手にとって中身をパラパラと眺めてみる。
この本は「カラー&ライト 」という本のタイトルのとおり、様々な絵画の歴史を紐解きながら光の表現を実際の絵を参照しつつ解説する本である。
ココがポイント
- 街灯と夜景
- フォームの原理の限界
- カラーアクセント
- エッジと奥行き
- 顔のカラーゾーン
など本格的な美術教育を受けていないわしでも目から鱗な内容満載。
ただこの本、光というものがどのような状態でどのように見えるかまた描くべきかについて細々と解説してはいるが、具体的な描き方を指南してはいない。
光の移り変わり、見え方を様々な場面を例に読み解いていく解説書のようなものだ。
注意ポイント
正直これを読んだからといってすぐに絵がうまくなるわけではないのだが、
色の見え方、絵の具の使い方などを考える際には貴重な参考になることは間違いないだろう。
ただやはりこれは玄人向きの専門書という感じなのである程度のレベルの絵を描ける人でないと見て読んで納得しておわり・・・というかんじでなんら実力に加味されることはないだろう。
そこら辺が気軽に手を出したわしの期待を裏切るものではあったことは間違いないが、高い本なだけに内容は濃く、絵を描く際の参考書として一生涯付き合っていくことができそうな一冊である。
ある程度の絵が描ける人でなんとなく画力に伸び悩んでいる人は手にとって読んでみると良い一冊だろう。
良いところ
あらすじ
『カラー&ライト』はアメリカの画家ジェームス・ガーニーによる、色彩と光の理論書である。
彼が描いたファンタジー絵画『ダイナトピア』の制作過程で得た知見をもとに、絵画における「光と影」「反射光」「空気遠近法」「色温度」などを体系的に整理している。内容は科学と芸術の融合を思わせる構成で光のスペクトルや視覚心理学にまで踏み込んだうえで、観察によってそれらをどう絵に活かすかを具体的に示す。特筆すべきは豊富な実例と図解によって視覚的にも理解しやすくなっている点。抽象的な理論ではなく、絵を描く“現場目線”でのアプローチが貫かれている。
絵において「なんとなく描いてきた」ものを、理論的に裏打ちされた確信に変える──それが本書の本質である。
では以下に良いところを挙げていこう!
実践と理論が融合した圧倒的な情報量
本書の最大の特徴は芸術家としての直観と科学的な視点を併せ持っている点である。
太陽光と人工光の違い、屈折と反射、グレアと彩度の関係といった専門的なテーマが、美術の言葉で分かりやすく語られる。
理論に偏りすぎることなく、描写の現場で何が起きているかを観察と共に解説してくれるため、机上の空論に陥らないのが魅力だ。
見て理解できる!図解・イラストが豊富
ガーニー自身によるデモンストレーションや、スケッチ・写真を交えた図解が非常に充実している。
単なる文章ではイメージしづらい「空気遠近法」や「色温度」も、図で見れば一目瞭然である。読むことそのものが“観察トレーニング”になっている感覚を得られるのは本書ならではの特徴だ。
アナログにもデジタルにも通じる普遍性
デジタルツールが進化した現代においても本書の知識はまったく古びていない。
なぜなら「光と色」は自然法則に基づいているからである。PhotoshopでもProcreateでも、この理論を理解していれば、どのツールでも適応可能だ。ツールを問わず「目を鍛える」本として長く活用できる。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
初心者には少しハードルが高い
科学的な説明が多く、理系知識がまったくない読者にとっては理解が難しい部分もある。用語に対する予備知識がないと、序盤で戸惑う可能性があるだろう。
翻訳の硬さが読みにくさを招く
日本語版は原書に忠実な翻訳ゆえに、やや堅苦しい文体が続く印象がある。重要な内容が翻訳の言い回しで少しぼやけてしまっている箇所もあり、読む集中力が必要だ。
すぐに“絵がうまくなる”わけではない
本書は理論と観察の鍛錬を促すが、それは即効性よりも「長期的な思考の変化」を目的とする。よって、短期で結果を求める人にとっては地味で遠回りに感じるかもしれない。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 光と色の原理を深く理解して画力を上げたい人
- イラストや絵画に「なんとなく」で塗っている自覚がある人
- デジタル・アナログ問わず絵を描くすべての表現者
『カラー&ライト』は絵を描く者にとっての“物理学”であり“哲学”でもある。
ジェームス・ガーニーの膨大な知見は感覚に頼りがちな色彩や光の扱いに、確かな理論と観察の視点を与えてくれる。初心者にはやや難解かもしれないが、何度も読み返すことで理解が深まり、画力そのものが地盤から変化していくのを感じるだろう。読み終えた瞬間に上達するというより、じっくりと「見る目」を育ててくれる本である。
光と色に悩んだすべての描き手にとって、本書は“宝の地図”なのだ。

目に映るすべてを、正しく“見る力”こそが絵の本質なのじゃ。
知ることで見えぬものが見えるようになる──それがこの書の真価なのじゃ!