
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミはポール・オースターの「鍵のかかった部屋」は好きかい?
その本、マジでヤバいよな。
読んだか?


読んだのじゃ。
ポール・オースターはいつもおもしろいことを考えるよな。


ポール・オースターは現代アメリカを代表する作家じゃからのう。
読んでいるとワクワクするぜ

\ ココがポイント!/

『鍵のかかった部屋』は、“自己とは何か”という命題に真っ向から挑んだポール・オースターの傑作なのじゃ!!
ジャンルとしてはミステリーや探偵小説の体裁をとっているが、本質は極めて哲学的でアイデンティティと存在の意味を追う内省の物語だ。
失踪した友人の遺稿を読み、出版し、ついにはその人生までも引き継いでいく主人公の姿は、読む者に「他者を生きる」ことの不思議さと危うさを突きつけてくる。現実と虚構の境界は終始あいまいで、読み進めるごとに自分が誰を読んでいるのかすら揺らいでくる構造が巧妙だ。文学性、構成美、主題性のいずれにも優れ、読後に強烈な余韻を残す。
簡単に読める本ではないが、深い読書体験を求める者には極めて価値が高い一冊である。
鍵のかかった部屋
本書は、ポール・オースターの「鍵のかかった部屋」「幽霊たち」に続く、オースターの「ニューヨーク3部作」最後の作品である。
ちなみに「嵐」の大野智主演の同名のドラマとは全く関係ないw
ポール・オースターいいですね(*´∀`*)
この人の作品は読んでいるとなんとなく普通の作家とは違っていて、非常に独特の世界観と物語の中に静かな幻影のようなものが見える、アメリカ文学の中ではかなり特異な作家であると思う。
本作は探偵小説の枠組みにとらわれない発想で展開するこの3部作。
オースターの小説はいつも孤独な「僕」から話が始まる。
「生きていく」主人公。死んでいく」ファンショー
本書を読んで思ったのは、誰でもない「僕」がいつの間にか色々なモノを手に入れて「生きていく」のに対し、失踪した親友ファンショーのはどんどん全てを失い「死んでいく」という「生」と「死」の対比の差だ。
それは二人の孤独な青年が、まるでコインの裏表のような状態で存在している。二人は気づかない間に妙な絆で繋がっている。
その見えないような繋がりが見事にこの小説は表していて、それはまるで透明なフィルムのように、「生と死」という目に見えない通底和音が全体に鳴り響き、全体としてはそれが不思議な面白さになっている。
ポール・オースターの「幻影性」
ポール・オースターにはこうした不可思議な幻影がいつも彼の物語の底には漂っている。
そうした、とらえどころのない「幻影性」が彼の魅力なのだ。
彼の作品をたくさん読んでいると、そうした不可思議な幻影性に惑わされて不思議と今いる時点がなんだか本当の場所ではないような、どこか別の場所に連れて行かれてしまったような気がしてしまうのだ。
こうした錯覚は、多分良い文学には必ず含まれているのだろう。
間違いなく素晴らしいこの純文学に、ワシは大きな感銘を受けるとともに、ポール・オースターの才能をまざまざと見せつけられた気がした。
ドコにも行けない。いや、年末だからこそドコにも行かないと家で引きこもってTVをいつまでも見ている人にこそ、本書を手にとって読んでもらいたい。
きっと、ここではないどこかへ必ず連れて行ってくれる本であると思うから。
良いところ
あらすじ
主人公は幼少期の親友であり作家のファンショーが失踪したことを知る。
ファンショーの妻ソフィーから、彼の未発表原稿の評価と出版を依頼された主人公は、その作品群の質の高さに驚嘆する。やがて主人公とソフィーは恋に落ち、結婚し、ファンショーの子供を育てることとなる。しかし、ファンショーからの手紙が届き、彼が生きていることが判明する。
主人公はファンショーを探し始めるが、その過程で自己のアイデンティティや現実の曖昧さに直面し、次第に自身を見失っていく。
では以下に良いところを挙げていこう!
アイデンティティの探求
物語は、主人公が失踪した友人ファンショーの人生を引き継ぐことで、自己の存在意義やアイデンティティについて深く考察する。読者は、他者との関係性や自己認識の曖昧さについて再考させられる。
現実と虚構の境界の曖昧さ
オースターは探偵小説の形式を用いながら、現実と虚構の境界を巧みにぼかす。これにより読者は物語の中で何が真実で何が虚構なのかを考えさせられ、物語に引き込まれる。
文学的メタフィクションの要素
作中で主人公が作家であるファンショーの作品を評価し、出版する過程は、文学そのものや作家の役割についてのメタ的な視点を提供する。これにより読者は文学作品の成り立ちや意味について深く考える機会を得る。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
読者に挑戦的な構成
物語は複雑な構成と抽象的なテーマを含むため、読者によっては理解しづらい部分がある。特に、現実と虚構の境界が曖昧になる場面では、混乱を感じるかもしれない。
登場人物の感情描写の不足
主人公やソフィーの内面的な感情描写がやや不足しており、彼らの行動や選択の動機が掴みにくいと感じる読者もいるだろう。
結末の曖昧さ
物語の結末が明確に示されず、多くの謎や疑問が残るため、すっきりとした終わりを求める読者には不満が残るかもしれない。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 自己のアイデンティティや存在意義について深く考えたい人
- 現実と虚構の境界を探るようなメタフィクションに興味がある人
- 複雑で挑戦的な文学作品を楽しみたい人
ポール・オースターの『鍵のかかった部屋』は単なるミステリーではなく、人間存在の根源を問い直す哲学的な小説である。
失踪した友人の人生を追体験する主人公を通して、読者は「自分とは何か?」という根源的な問いに向き合わされる。探偵小説的な興味で読み進められる一方で、徐々に現実と虚構の境界が曖昧になり、読む者を深い迷宮へと誘う構成は、オースターならではの技巧と言える。読後には、読者自身の存在や記憶、過去の選択に対する問いが静かに残るだろう。

自己とは誰なのか、記憶は真実なのか
――『鍵のかかった部屋』は、そなたの心に鍵をかける一冊なのじゃ。