こんちわ、おいさんだよ。
キミは「銀河鉄道」を信じるかい?
「銀河鉄道」って宮沢賢治のアレか?
みやざわけんじってだあれ?
ポポポ?
エラいおじさんだ。
ざっくりだな!
誰でしゅか?!エラいおじさんって!
他にも銀河鉄道999とか色々あるぞ。
まあ、とにかく日本では銀河鉄道っつったら宮沢賢治が思い浮かぶわな。
そこで今回紹介する本がこれじゃ!
宮沢賢治の「銀河鉄道の夜 」?
そうじゃ。
またなんで急に宮沢賢治なんだよ?
そうした諸々のことはあとで語るとして、今回は「新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)」と、おまけに「宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物」という本を紹介するのじゃ。
前回まではこちら
おうし座について真剣に考えてみたよ。という話(*´ω`*)
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牡牛座は食事が大事?自分と価値の合う女性の見つけ方。
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銀河鉄道の夜
本屋で見かけて一目惚れだった。
今年の夏、新潮社文庫のフェアみたいなものをやっていた。
歯医者の帰りにたまたま立ち寄った本屋で見かけた新装版「銀河鉄道の夜」が、紫のカバーでかっこよかったので思わず手にとってしまった。
後に知ったが、この「銀河鉄道の夜」は新装版ではなく夏限定のプレミアムカバーであったらしい。
新潮社から出ている「銀河鉄道の夜」は本来、下記の写真のとおりのものだそうな。
その時は何気なく手にとるも、手元不如意で持ち合わせがなかったので買わずにそのまま本棚に戻して帰宅してしまった。
しかし家に帰ってみると、どうしてもあの紫のカバーの「銀河鉄道の夜」が気になって仕方ない。その日は気になって気になって夜も10時間くらいしか眠れなかった。
そこで次の週、またしても歯医者の帰りに思い切って買おうと、本屋に立ち寄ってみたもの本屋がたまたま棚卸しをしていてその日は買えずじまい。
翌々週に棚卸しが終わり新装開店になったあと本屋を尋ねるも、その時にはもうあのプレミアムカバーの紫の「銀河鉄道の夜」は姿を消してしまった。
Amazonや楽天で探してみるも見つからず、
本屋の店員に頼み込んで新潮社のHPを見てもらうも、夏限定で本屋になければもうすでに生産終了とのこと。
ガーンΣ(゚Д゚)
もう、もうあの紫のカバーには会えないのか……
力尽きてうなだれるも諦めきれずにそのご3件も本屋さんを探し回り、とうとう家から遠いショッピングモールで一冊だけあの紫のカバーを発見したのである!
ああ、よかった。
これでもう出会えないのかと思った。
少しカバーがよれているけど気にしない。なぜならもうこの一冊しかないからだ。
すぐレジに持っていって即購入!
この秋、じっくりと読んでみることにした。
銀河鉄道の夜って有名だけど
「銀河鉄道の夜」って実はわし、あんまりしっかりと読んだことはない。
中学の国語の教科書に乗っていたけど、途中からしか読んだ記憶がないのだ。
全部をしっかりとストーリーを読んだのは今回が初めて。
しかしこの本は「銀河鉄道の夜」だけではない。
短編集なので「よだかの星」「シグナルとシグナレス」「オツベルと象」「猫の事務所」「セロ弾きのゴーシュ」など14編の童話が収められている。
以前このブログでも宮沢賢治の言葉をまとめた齋藤孝氏の本を紹介したことがあるが、今回紹介する本書に収められている短編はほとんど読んだことがないものばかりw
せいぜい、過去に読んだことのあるのは「セロ弾きのゴーシュ」くらいなもんである。
そんな宮沢賢治素人のわしにとって「銀河鉄道」はしかし縁のないものではない。
わしが初めて「銀河鉄道」なるものを知ったのは「映画ドラえもん のび太と銀河超特急」が最初だった。
その時映画を観た印象で「銀河鉄道」ってかっこいいな。
わしも銀鉄に乗って惑星を旅したいな。と子供ごころに思ったくらいで、今ではドラえもんの映画で一番好きな作品になっている。
その他にも、
わしは「銀河鉄道」と聞くとなぜかビリー・ジョエルの「Allentown」を思い出してしまう。
なぜこの曲が?と思われる人もいるだろうが、
実は大学時代、町田の図書館で借りたビリー・ジョエルのライブ盤「ビリー・ザ・ライヴ~ミレニアム・コンサート」に収められている「Allentown」を聞いて「あ、なんだか宮沢賢治の銀河鉄道みたいだな」と、なんの関係もなくふと唐突に思ってしまったからである。
初めてこの曲を聞いたときには「アメリカにもこんな叙情的な曲を作り人がいるんだ!」と感動してびっくりしたのを覚えている。
その時は英語はわかなかったけど、調べてみると実際は「Allentown」は閉鎖された鉄工所のことを歌った歌で、銀河鉄道とはまったく関係ないw
しかし、当時はなぜかこの曲を聞いて銀河鉄道を思い浮かべてしまったのである。
歌って不思議なものだよねw
まあ、曲の冒頭で鉄工所で鉄を叩いている音がするからそれで鉄道を思い浮かべたのかもしれないけど。
とにかく、そんなうらぶれた鉄工所のある町と銀河鉄道がつながって自分の中では鮮やかなイメージを残していったのであったが、今回始めて冒頭から「銀河鉄道の夜」を読んでみてジョバンニが住んでいる街の雰囲気とかが、「Allentown」の風景と当たらずとも遠からずな感じがして少々びっくりした。
さすがに鉄工所は出てこないけど、うらぶれた街に住む貧しい孤独な少年(ジョバンニ)が、祭りの日に夢の中で親友と旅をする……という孤独な境遇がなんとなく似ていなくもない。
あらすじ
そんな主人公のジョバンニは学校でいつもいじめられている。
「らっこの上着を持って帰る」といって漁に行ったきり帰ってこないジョバンニの父が言ったことを、クラスメイトのザネリは「らっこの上着が来るよwww」とからかう毎日。
唯一の親友だと思っていたカムパネルラも祭りの際にいじめの集団の中に溶け込んでいて、ジョバンニに味方はしてくれない。
いつしか丘でひとり眠りについたジョバンニは銀河鉄道に乗っていると、列車に乗り込む人々はどこまでも風変わりで、孤独、そして寂しさ・悲しさを何かしら抱えこんでいる人々ばかり。
そう世間からちょっと浮いてしまったマイノリティのような人々が乗り込んでくるのだ。
一緒に乗っていたカムパネルラも知り合った女の子とばかり話をしていてジョバンニは寂しくて物悲しい。
ここらへんなんかわし自身実体験があるのでよくわかる。
親しい友だちが自分以外の人間と意気投合している場面に出くわすとちょっと悲しくなってしまうんだよね。
そんな銀河鉄道に乗って風変わりな人々とともに車窓から見えるふしぎな風景に心を奪われながら、貧しい孤独な少年は親友とどこまでもどこまでも大空を進んでいく。
しかもずっと一緒に行こうと近いあったはずのカムパネルラもいつの間にかいなくなってしまい、その先に見えるのは誰もいないまっ黒な世界へと堕ちていく。
この物語にはしっかりとした友達や人間関係というものが出てこない。
皆どこか少しおかしく、それでいて孤独なのだ。
読む前は「銀河鉄道」なんていうくらいだからもっと美しい童話なのかと思っていたけど、なんだか読みすすめていく内に、ジョバンニの孤独と自分の孤独が一つになったような気がして、ふと目が冷めたらこれも夢なんじゃないか?と思わず本を読む手を止めて、何度もあたりを見渡してしまう。
そんなふうに、
「銀河鉄道の夜」は自分の中の透明な悲しみ、孤独の美しさを感じずにはいられない不思議な物語である。
これって子どもが読む童話なのかな?
子どもが読むにはちょっと複雑で朦朧としてそのイメージをなかなかつかみにくい。
童話って書かれているけど内容は恐ろしく深く、大人になっても読める話なのではあるが、子どもがこれを理解するのはちょっとむずかしいかな?と感じてしまう。
宮沢賢治の元素図鑑
特に賢治の童話を難しくしているのは物語の中に頻繁に出てくる元素の名前だろう。
賢治自身も自分は化学者だと思っていたらしく、またそうした勉強をたくさんしているため、彼の彼の物語には盛んに元素の名前が登場する。
これが宮沢賢治の物語を読んでいる内に、何が言いたいのかわからなくさせてしまう原因の一つである。
そこでわしはこんな面白い本を借りてきた。
「宮沢賢治の元素図鑑ー作品を彩る元素と鉱物」という本だ。
これには賢治の童話に出てくる元素がたくさん載っていて、それを一つ一つ丁寧にどの元素がどのようなものかを解説してくれる。
これを片手に読んでいると難解だった賢治の物語も格段に理解がしやすくなる。
川のむこう岸が赤くなりました。
柳の木や何もかもまっ黒にすかし出され見えない天の川の波もときどきちらちら針のやうに赤く光りました
(中略)
ルビーよりも赤くすきとおりリチウムよりも美しく酔ったやうになってその火は燃えているのでした。
「あれは何の火だろう。あんなに赤く光る火は何を燃やせばできるんだろう」ジョバンニは云いました。
「蠍の火だな」カムパネルラが又地図を首っ引きして答へました。
一見して「リチウムよりも美しく」なんて言われてもなんのことかわからない。
だけどこの本を紐解いてリチウムの稿を読んでいくと、なるほどリチウムの出す火というのはこんな色をしているのか、眼の前にラクラクと思い浮かべることができるので、物語の内容を理解するのにも役立つし、改めて賢治の表現の豊かさを感じることもできる。
この本はもちろん銀河鉄道の夜だけではなく、賢治のいろんな作品に出てくる元素や物質を解説してくれて非常に読み応えのある本である。
なので宮沢賢治初心者のキミもこの本を片手に銀河鉄道の夜を紐解いてみてはいかがだろう?