
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミはJ-Popは好きかい?
最近のJ-POPって、なんか全部同じに聴こえるんだよな。


おっさん化の兆候じゃの。
でも実際に業界全体が疲弊しておるから当然なのじゃ。
で、この本、ぶっちゃけタイトル煽りすぎじゃね?


中身を読めばJ-Popのある種救いのなさがよくわかるのじゃ。
おお……読んだらおもしろいのかな。

\ ココがポイント!/

『誰がJ-POPを救えるか? 麻生香太郎』は、J-POPを取り巻く危機的状況に警鐘を鳴らしつつ、その再生可能性と戦略を論理的に提示した一冊なのじゃ!!
音楽が売れない刺さらない時代において何が欠けているのか、どうすれば若いリスナーの心を取り戻せるのか。著者は業界の構造、ヒットの原理、SNS時代の戦略を重層的に分析することで、「音楽ビジネスの地殻変動」に挑む覚悟を示している。単なる評論にとどまらず、マーケティング、制作、マネタイズの各視点からの“救済戦略”を提案しており、音楽関係者だけでなく、広くカルチャーに関心のある者に読まれるべき一冊である。
「もうJ-POPは終わりだ」という悲観論に代わる、次の一歩を模索する羅針盤として読むべきだろう。
誰がJ-POPを救えるか?
誰がJ-Popを救えるか?
本書を読んでいると、いかに今のJ-Popが腐っているのかがよく分かる。
この本は70年代の歌謡曲黄金期から昨今のK-POPやアイドルブームまでの歴史を切実に綴った一冊で、わしらの身近にあったJ-Popの変遷をコンパクトに纏められている非常にわかりやすい本である。
読んでいるとわしが小学生だった小室哲哉全盛の時代が、どのような時代でどういう流れだったのか。
かつての思い出を懐かしく思い出しながらページをめくって音楽史の移り変わりを再確認することができた。
また当時、世代であるにも関わらずあんまりよく知らないモーニング娘。のつんくや、AKBの秋元康などのアイドルブームがいかにいして作られていったかという点も非常に興味深く解き明かされていて、なんとも読みごたえのある一冊である。
ソニーがJ-Popを彩ってきた
本書を読んでいるとまず驚くのが日本の音楽業界がソニー・ミュージックに牽引されながら発展していったという事実が浮き彫りにされている点が非常におもしろい。
ソニーという存在が日本の音楽業界に多大な影響を与えていたか。
J-Pop興隆の裏にはあの巨大企業ソニーありということを実感せずにはいられない。
そんな音楽の巨人・ソニーも、アップルが発売したiPodによってその音楽のあり方を根底から変えてしまい、またそんな時代の波にも日本の音楽シーンは複雑な著作権保護のための権利関係が裏目に出てしまったおかげで、アップルとは音楽業界においては大きな差を開けられてしまう。ここらへんは誰もが周知の事実だ。確かに日本のレコード会社が著作権を守ってきたことによって世界中で軒並みCDの売上が下がる中、日本だけがCDの売上を落とさずに今までこれたというプラスの面もあるのだろうが、結果を見たらこれが90年代以降の日本のJ-Popのつまずきの一つである。
誰もが等しく著作権の印税を受け取られるという世界にまれに見る細かな印税回収システムは、多くの作曲者・作詞家・アーティストなどに恩恵を与えたことも事実であるが、しかし複雑になりすぎてしまったシステムは時代の波についていけず、今やJ-Popは衰退の一途を辿ってしまうと本書は語る。
確かにYouTubeやSpotifyなどの音楽配信サービスがここまで広まってしまうと日本のレコード会社は世界的にみてその潮流に乗り遅れた感がある気がする。
ただそれが単純に悪いことであるとは言えないのがビジネスの難しいところである。
そして日本の歌番組は音声圧縮技術の登場・スマホの普及など、複雑な要因が絡まって今のJ-Popは無残な没落を見せているのだと本書は主張する。
だがここで話は終わらない。
世間ではレコードが売れなくなってきているのだが、その流れとは逆に音楽出版ビジネスだけは売れ続けているというおもしろい流れが起こっている。
つまりCDが売れない時代でも、
過去の名曲などの二次使用で儲けているのである。
リーマン・ショック以降、いずれも右肩上がりで成長し続ける音楽出版ビジネスの未来は明るいと著者は語る。
もしかしたら筆者の言う通りこれがJ-Pop起死回生の切り札になるのかもしれないが、わしはこの主張に懐疑的である。
誰がJ-Popの劣化を止められるか?
わしが思うに、J-Popの衰退は単純に音楽の質が低下した、という点だけだと思っている。
ゴールデンのTVのチャンネルをつけてみれば、今のJ-Popがいかに質の悪い音楽を生み出しているかすぐにわかる。
どれもかしこもどこかで見たこと聞いたことあるものばかり。
右をつけてもアイドル。左をつけてもアイドル。
今やアイドル・アイドル・アイドルのオンパレードである。
アイドルだってここまでブームになればいずれはインフレを起こしてその価値が下落してしまうし、上辺だけの音楽は良質なリスナーを駆逐してしまい、ますます過去の名曲に引き込ませる要因になるだろう。
吾輩としても一刻も早くこの沈みゆく音楽業界をなんとかしてほしい。
ただ誤解しないでほしいが、それは別に90年代みたいにCDがバカスカ売れるような時代に戻ってほしいということではない。
今巷を賑わせているくだらない音楽を一刻も早く駆逐し、もっと耳の肥えたリスナーが楽しめるような素晴らしい音楽が溢れるようになってほしい、ということである。
正直言って、昨今10年くらいのTV・ラジオや有線から流れてくるJ-Popはあまりにヒドイ!
歌詞を見てみても、もうムカつくぐらいアーティスト自身の身近なことしか歌えず、どこかで聞いたことのあるフレーズとあまりに偽善的な歌詞のオンパーレード。
J-Popにはわしを含め多くの人間が飽き飽きしているはずだ。
あんなものを強制的に聞かされるならまだジャズやクラシックを聞いている方が何百倍もマシだ。
なのでわしは最近、オールディーズなどの時の風雪に耐えたものばかりをより直ぐって聞いているように思う。
しかしあえてTVやラジオを遠ざけて聞かんとしても、つまらなくなってしまったJ-Popは必ず何処かから聞こえてくる。
それはどんなに防ごうとしても必ずどこかから襲ってくるのだ。
この狭い島国に逃げ場なし。
ホントこの状況にわしはウンザリしている。
ハヤクダレカナントカシテクレ(;´Д`)
良いところ
あらすじ
本書はJ-POPの現在地を多角的に捉える音楽評論・産業分析である。
著者・麻生香太郎はテレビ離れ、CD売上減少、SNS依存といった複合要因によって「ヒット」が生まれにくくなった音楽業界の現状を、数字と事例を交えて鋭く論じる。一方で、K-POPやボカロ、インディーズの成功事例を挙げながら、「売れるとは何か」「刺さるとは何か」を再定義し、音楽の届け方・聴かれ方を抜本的に問い直す。特にTikTok文化の浸透やアルゴリズム的消費に対し、音楽がどのように戦略を持つべきかを提言。過去の成功モデルではなく、「今の聴き手」に寄り添う姿勢を軸に、音楽とリスナーの新たな関係性を模索する。その結果、本書は単なる批判や懐古ではなく、未来志向の一冊となっている。
では以下に良いところを挙げていこう!
課題を「見える化」した明快な構造分析
本書は、J-POPがなぜ「刺さらない」のかを論理的に分解している。ヒット曲の構造、リスナー層の変化、メディア環境の移ろいを地に足のついた視点で提示。感情論ではなく構造的な問題として音楽の衰退を語る筆致は信頼に足る。
提案が具体的で実行可能
単なる問題提起では終わらず、SNS運用のコツ、ストリーミング時代のMV戦略、アーティストブランディングの再設計まで、現場に持ち帰れる提案が豊富。抽象論に逃げず、実務的なアプローチが光る。
他ジャンルとの比較が鋭い
K-POPやボカロ文化との比較を通じて「なぜ日本だけが遅れているのか」を炙り出す。国際的な視点とローカルな問題意識を融合させることで、J-POPを“世界基準”に引き戻す議論を可能にしている。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
タイトルが煽情的すぎる
「誰が救えるか?」という表現は読者の興味を惹くが、内容が思ったより冷静な分析に終始しているため過激な言説を期待すると肩透かしを食らうだろう。
リスナー目線がやや弱い
制作側や業界視点が中心のため、一般リスナーの心情や実感に寄り添う記述は少ない。共感というより観察と提案に特化した印象を受ける。
データの鮮度に若干の難あり
一部の統計データが数年前のもので、急変するSNSトレンドや音楽消費行動への即応性にはやや欠ける。現場のスピード感とずれがあるのは否めない。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 音楽業界で働く、または目指している人
- 邦楽シーンの行方が気になっている音楽ファン
- SNS時代のマーケティングに関心のあるビジネスパーソン
『誰がJ-POPを救えるか?』は音楽業界の「なぜ売れなくなったのか」を明快に示すと同時に、未来への希望と戦略を同封した一冊である。
単なるJ-POP懐古本ではなく、構造改革の提言書であり、現場と理論の橋渡しを試みる内容だ。派手なタイトルに反して中身は誠実かつ論理的。冷静な現状分析の先に、「次はこうすべき」という道筋を引いてくれる。音楽ビジネスに関わる者、カルチャーを愛する者、すべての“傍観者ではない人間”にこそ読んでほしい。
これはJ-POPを他人事としないすべての人への問いかけなのである。

希望を捨ててはならぬ。音楽は変わり続ける生き物なのじゃ!