
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミはロングテールの法則は知っているかい?
最近、よくTikTokとかでバズってるやつあるだろ?ああいうのって売れんのは一瞬だろ?


バズの世界は刹那だからのう。思い起こせばこのブログも最初はバズったりもしたが⋯あれからもう10年、ヒット記事は生まれなくなっても、ロングテールは永遠なのじゃ
ウチらのブログも意外とロングテールでヒットし続けている記事もあるもんな。


というよりもそんなのばっかじゃ
そこで今回はロングテールの法則について解説していくのじゃ。
ハーン、それは面白そうだなあ。

\ ココがポイント!/

『ロングテール』は、ネット社会の本質的な「売り方の変化」を解き明かした一冊なのじゃ!!
これまでのビジネスは「売れる商品」を中心に設計されてきたが、本書ではむしろ「売れない商品」が重要な利益源となると主張している。これは書籍や音楽、映画のようなデジタル商品に顕著で、物理的な棚を持たないネットショップだからこそ可能となる。ヒット作が全体売上の一部でしかないという分析は、既存の商業モデルを根本から覆すものだ。ニッチ市場を軽視せず、商品を多様に展開することで長期的な売上を積み上げる戦略は、現代においてますます有効性を増している。
マーケティング、出版、クリエイター活動を行う者にとって、必読の一冊であると言えるだろう。
ロングテール
今更こんなものを紹介してもしょうがないかもしれない。
といっても読んでおもしろかったんだからしょうがない。
この本はブログ界隈ではすでに常識のものとなった「ロングテール」の理論について詳しく書かれた本である。
著者は「ロングテール理論」の名付け親といわれたクリス・アンダーソン氏。
「ロングテール」とは言わずと知れた、ネット上の通販業者の商品売上げをグラフにして、縦軸に販売数量、横軸に各商品売れ行き順に左から並べていくと、左にはメジャーなヒット商品が並ぶが、右に行くとすぐにニッチ商品群が恐竜の尾のように長く続き、その尻尾は絶対に0には近づかない(販売量は0にならない)という理論である。

(画像引用:ウィキペディア「ロングテール - Wikipedia」)
デジタル・エンタテイメント経済は、今日の大衆市場とはまったく異なるものになっていく。それはオンライン・サービスの販売データが示している。20世紀のエンタテインメント産業がヒットで成り立っていたなら、21世紀にはニッチで成り立つようになるだろう。
要するにブロードバンド環境が整ってデジタルコンテンツ全盛のこの時代には、以前のような大ヒットは生まれにくくなり、ニッチなものがメジャーなものよりも大きな意味を持つようになるということだ。
90年台J-Popで考えて見るとわかりやすい。
あの時代は日本の音楽業界の中でも異質なほどにレコード(CD)が売れた時期である。
しかし2000年代を堺にiPodの普及とiTunesの台頭により、急激にCDの売上が落ちていった。それからというもの日本のレコード業界のCDの売上はどんどん減り、今ではカスみたいな(失礼)アイドルばかりが売れる状態になってしまった現状がある。
プロの権威失墜
かくしてJ-Popは失墜したが、こういった現象が起こったのもインターネットが普及をし、手に入らないもの誰にでも行き渡るようになって起こり始めたのである。
ようするにみんな趣味嗜好が多様化して、どこかのマスメディアが強烈にプッシュするものを容易に受け付けなくなってきただけなのだ。
そして、そのロングテールの威力は消費者行動だけではなく、作り手である生産者にも変革の波を押し寄せることになる。
結果として、僕たちは受け身の消費者から積極的な生産者へと変わりつつある。しかも、好きだからやるのだ(アマチュアamateurという言葉は、ラテン語のamator=「愛する人」やamare=「愛する」から来ている。)アマチュアのブログは主流のメディアと同じように読者の関心を引き、三流バンドはレーベルなしで音楽をネット上でリリースする。
またインターネットのレビューをおもに描いているのは僕たちと同じ消費者だ。
いまや石を投げればアマチュアに当たる。アマチュアの制作環境もまるで「やりたいなら権利を得てやれ」だったのが、「やめないでください」に一変したみたいだ。
p84
PCの普及と高機能化により、それまで一部のプロたちしか行えなかった作業が誰の手でも行えるようになると、それまでのプロとアマの境が一変した。一気にアマチュアと呼ばれる人たちがプロ顔負けの仕事をするようになったのである。
今日ではこのような玄人顔負けの仕事をする人たちが世界中どこにでもいる。
それは新興国市場では仕事の面で多くの雇用を奪い、グローバリゼーションの波に乗ってアメリカなどを襲っているようにその波は日本にももちろん押し寄せ、多くの若者が非正規雇用である身分を嫌ってフリーランスに転身して新たな雇用(クラウドソーシングなど)を生み出している。
そうしたプロとアマの垣根が低くなってきていることは、どこの業界を見てとれる。
ただ、もちろんこうした面には良い面と悪い面が混在し、手放しで喜んでばかりいられない状況でもあるのだ。
アマチュアはどこまでもアマチュア?
そんな代表的な例がウィキペディアやブログなどのニューメディア群だろう。
確率システムの長所は、集合知のおかげで幅も奥行きもうまく広げられるという点だ。
しかし細かいところでは正確さを犠牲にしているので、どの結果も多少疑ってかかる必要がある。ウィキペディアは最初の情報源であって、最後の情報源にしてはならない。情報探しの起点であって、事実確認の決定版となる情報ではない。
ブログもそうだ。どれ一つとして正式ではない。ブログはロングテールだ。だからそのコンテンツの品質や特徴を一般化しようとするのは間違っている。本来、多様で変化にトムのがロングテールというものだからだ。でもブログ全体としては、メジャーなメディアに匹敵するどころかそれ以上のものを世に送り出している。ただ内容を信じる前に複数読めばいいのだ。
p91
これはわしみたいな弱小ブロガーにとって嬉しいことなのかもしれないが、ブログというメディアはどこまでも個人的なメディアであることによって、インターネットを通じて世界に情報を各個人が発信している。
その記事の質は玉石混交なれど、それでも数を書けば質も高まるし、わしみたいな文章を書く才能のない者でもGoogleか一定の評価をされて、トラフィック(注目)と評判(リンク)を獲得し、自分が思ったことを発信し続けることによって世間にある程度の影響をおよぼすことができるようになった。
もちろん新聞やTVほどの大メディアのような威力はないだろうが、それでも情報を発信することによって誰かの役に立つことはできるのだ。
そして、うまくやればトラフィックを収益化(マネタイズ)することもできる。
情報の信憑性や分析力は劣るかもしれないが、読者は例えばはてなブログからたくさんのブログを読むことによって、普通のマスメディアでは得られない多くの知識を得つつ、情報の取捨選択がうまくなる。
それは去年の「保育園落ちた死ね」事件でも照明済みだろう。
ただ、わし自身フリーランスの仕事をしていて思うのだが、フリーランスというだけで下に見られる風潮は、昨今のバイラルメディアの問題で見られるように容易には変わらないだろう。
ロングテールは新しい文化の担い手になるのか?
しかしそうした情報の分野では新たな局面が生まれつつあっても、それが文化のレベルではどうだろう?特に大衆に根ざした文化ではどうなるのだろう?
ミュージシャンになるための正しい勉強法は優れた人を真似ること。
それが常識と思われていた時代は長かった。その頃は先人と同じ曲を演奏し、楽譜を研究し、音楽学校に通うことからはじめるべきだとされていた。下積みが必要という考え方だ。「繰り返し練習してみんなが望むスタンダード曲を演奏せよ(君のひどいオリジナル曲なんか誰も聴きたくない)。ちゃんとやれ」というわけだ。
この常識をパンク・ロックが変えた。
「ギターは持ってるな。よし。ちゃんとやらなくていいよ。間違えてもいいから。うまいかどうかはどうでもいいんだ。何か訴えるものがあれば」
パンク・ロックはそう教えてくれた。
この音楽で大事なのは、生き生きした声と新しいサウンドとエネルギーだ。
反体制志向は既存のシステムの外からやってくるものだ。
p108
パンク・ロックが音楽のあり方を変えたように、PCとブロードバンドの普及化がプロたちの環境を変えた。
例えば音楽業界では、同じ著者の「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」という本で、すでにネット環境とフリーをかけ合わせて新たなビジネスを生み出す試みが生まれている様子が色々と描かれている。
こうした現象はわしらの足元に少しずつ現れ始めている。
例えば昨年話題になった新海誠監督もこのフリーとネット環境をかけ合わせる戦略によって多くのファンを獲得し、去年やっと「君の名は」の大ヒットで世間の注目を集めるほどのメジャーな存在になった。
こんなことを書くと、ネットを新たなビジネスや文化の担い手になるという耳にタコができるようなどこかで聞いたことを吹聴しているように思われるかもしれないが、新たなビジネスや文化を送り出していくことぐらいは、もう現実に起こり始めているように思える。
みんながみんなこのロングテールによって幸せになるとまでは言わないがw
ただ、このせいで今までアングラだったサブカルチャーが消滅し、どれを見渡してもどんぐりの背比べになってしまう状態と言えなくもないがw
ロングテールの出現で80対20の法則が崩れる
まとめるとロングテールにこのような効果がある。以下に引用しよう。
かくしてロングテール史上では、80対20の法則が次のように変貌する。
- ずっと数多くの商品を提供できる。
- 商品を見つけるのが(レコメンデーションなどのフィルタのおかげで)容易なので、 ヒットとニッチの売上の差が縮まる。
- ニッチはヒットと同じくらい経済効果がいいので、ランキングが低くても利益を見込める
p172
そしてロングテールが存在することによってブログというメディアにも一定の勝機が存在するのだ。
またブログは、史上もっとも優れた発言媒体だ。
ブログを通じて価値の高いアイディアや情報にリンクする習慣は、おおいに多様化を促す。その情報がプロのものであろうとアマチュアのものであろうとブログは差別されない。
p243
これは嬉しいことだが、それには他のブログとは一味違った個性を発揮しなければ、そもそもロングテールにひっかかることもできないだろう。
理屈で説明できるほど、甘くないことには変わらないのであるw
良いところ
あらすじ
著者クリス・アンダーソンはインターネットとデジタル流通の発展によって「ロングテール」という現象が顕在化したと主張する。
「ロングテール」とは、売れ筋商品の右側に広がる膨大な「売れない商品群」のことであり、これらを総体として見ると大ヒット商品に匹敵する売上を生み出すという概念だ。本書ではAmazonやiTunes、Netflixといった事例を引きながら、ヒット至上主義から脱却し、ニッチ市場をいかに収益化するかを解説する。また、検索技術や推薦アルゴリズム、在庫管理のデジタル化といったインフラの進化がロングテール戦略を可能にしている点も論じられている。
単なるビジネス書ではなく、文化と経済の接点を見据えた洞察に満ちた内容である。
では以下に良いところを挙げていこう!
ネット時代の収益構造を鮮やかに描写
『ロングテール』はインターネットによって可能になった「売れない商品」の収益化を明快なロジックで解き明かしている。物理的な制約を超えたデジタル販売の可能性をAmazonやNetflixなど具体的な実例を通して解説しており実務に直結する。
ニッチ市場への視座を提供
従来のヒット志向とは真逆の「少数に対して深く売る」という戦略を提示し、多くのクリエイターやマーケターに希望を与えてくれる。特にマスには届かないが確かなニーズが存在する分野での応用可能性が高い。
理論だけでなく実証データが豊富
抽象的な概念で終わらず、実際のデータ分析や市場調査に基づく論証が多数掲載されている。これにより「単なるアイデア」にとどまらず、ビジネスの現場で再現可能な知見として活用できる。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
旧来型の業種には適用が難しい
ロングテール理論はデジタル販売や情報商材には非常に有効だが、リアル店舗や物理商品の流通には応用が限定的である。すべてのビジネスに万能とは言いがたい。
アルゴリズム依存の現実を過小評価
推薦機能や検索エンジンといったアルゴリズムの力に頼る前提があるが、その精度や偏りによってロングテールが機能しないケースもある。そこへの掘り下げは浅い。
情報がやや古くなっている
初版は2006年。SNSやAIが席巻する2020年代の状況とは異なる部分もあり、最新の事例や補足がないと理解が難しい場面もある。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- デジタルコンテンツ販売をしているクリエイター
- マーケティング戦略を見直したいビジネスパーソン
- AmazonやNetflixのビジネスモデルに興味がある人
『ロングテール』はネット社会における「売れない商品」こそが宝になるという逆説的な戦略を提唱した一冊である。
特にデジタル商品・EC・コンテンツ産業において、ニッチな需要を幅広く拾い上げる販売手法はすでに現実のものとなっている。ヒット作のみに依存するリスクを回避し、長期的な収益モデルを構築するうえで極めて参考になる。すべての読者にとって適用できるわけではないが、少なくとも「売り方の未来像」を知るためには一読の価値があるだろう。

ヒットばかり追いかけるのではなく、尾にも宝が眠っとる――これがロングテールの神髄なのじゃ!