
ちわ~!おいさんだよー。
キミは思わず裸足で駆けていきたくならないかい?
お前はサザエさんか。
いくらドラねこだからって他所様の魚をくわえて逃げていいわけじゃねえぞ。


バカタレ!
わしは魚なんかネコババしないわい!
わしはベアフットランニングのことを言っているのじゃ!
ベアフットラン?なんだそれ?


うーむ、やはりベアフットランを知らないか。
まあ、日本でもようやく少しずつ認知され始めたランニングだからな。
それじゃあ今回は「BORN TO RUN 走るために生まれた」という本から色々説明していこう。
大企業・ナイキの罪とは?
本書を読んでいたら無性に走りたくなってしまうだろう。しかも裸足でw
裸足で走りたくなる本。それが「BORN TO RUN」である。
この「BORN TO RUN 走るために生まれた」は足に故障を抱えたランナー(著者)が、走るために生まれてきた部族「タラウマラ族」の秘密を探るべくメキシコの奥地に向かい、史上もっとも過酷なウルトラマラソンに参加するまでのノンフィクション自伝である。
本書を読んでいていくつか興味深いことがあったので、ここで少し紹介してみよう。
それは巨大企業ナイキによる『ハイテクシューズの罪』の話である。
元々ナイキという会社を設立したのは、なんでも売って儲けてやろうとするオレゴン大学のランナー、フィル・ナイトと自分はなんでも知っていると自負するオレゴン大学のコーチ・ビル・バウワーマンの二人によって起業された会社だった。この二人が手を組むまでは現代的なランニングシューズは存在しなかった。
現代的なランニングシューズとはエアマックスなどに代表される、ソールの厚いスポーツシューズのことである。
バウワーマンは自宅の地下室でゴムを溶かし、新種のフットウェアの開発に取り組んだ。
そして完成したのがクッション性の高いランニングシューズ「コルテッツ」だった。
これがナイキのハイテクシューズの原型である。
バウワーマンは自身の新型シューズの新たな走法を提唱した。
それはそれまで安全に行えなかった走り方ができるようになるという骨ばった踵で着地する走り方だった。
クッション性のランニングシューズが発明される前はすべてのランナーのランニングフォームは同じだった。
背筋を伸ばして膝を曲げ、腰の真下で足が地面を後ろにかくように走っていたという。
しかし、バウワーマンは重心よりも前に足を着地させれば、若干距離が稼げるのではないか?
踵の下にゴムの塊をつければ、脚を伸ばし、踵で接地して歩幅を長くすることができるのではないか?
そう考えた彼は自身が開発したシューズとともに新たな走法を世に広めてしまう。
この戦略は当たった。
バウワーマンの天才的なマーケティングによりナイキのシューズは爆発的に売れてしまう。
その売れ行きはシューズの生産が間に合わなくなり、オリンピック・イヤーの1972年を境に、ナイキを世界一の巨大企業に成長させるほど画期的な発明であった。
しかしバウワーマンの生み出したハイテクシューズが爆発的に広まったことにより、
その売れ行きとともに脚の故障者も爆発的にに生み出してしまったのだ。
ナイキが生み出したハイテクシューズは足に悪い?!
それは一体どういうことか?
本書からバウワーマンの師であるアーサー・リディアートはこう語っているので以下に抜粋しよう。
「どの年齢にせよ、平均的な人に裸足で走ってもらっても、その人の足の動きにプロネーション(踵が内側に傾くこと)やスピネーション(足をひねること)の兆しはまず見られない。」とリディアートは訴えた。
「そうした足首の横への傾きは、足をランニングシューズに通して初めて生じる。多くの場合、シューズの構造が足の自然な動きを一変させてしまうからだ。」
「昔はキャンパス地のシューズで走ったものだ」とリディアートはつづける
「足底筋膜炎にはならなかったし、プロネーションもスピネーションも起きず、マラソンを走った時に粗いキャンパス地のせいで靴ずれができることはあっても、総じていえば足の問題は生じなかった。最新のハイテクランニングシューズに数百ドル払ったところで、そうした故障を逃れられる保証はなく、きっとあれこれの怪我に悩まされることだろう」
「支えをすれば、その箇所は弱くなる。たくさん使えばそのぶん強くなるのだ……裸足で走れば、面倒は一切生じない。」
「裸足のときのように足を機能させるシューズーそれが私好みのシューズだ」
足底筋膜炎。
それがナイキが生み出したハイテクシューズを履いてパフォーマンスをすることによってアスリートたちにもとらされた故障の病名であった。
ナイキはそれまでになかった画期的なハイテクシューズ生み出したおかげ巨大企業に成長したのだが、そのハイテクシューズを履いたアスリートたちの間にそれまで見られなかった故障者が爆発的に増大し、足に良いと思われていた厚底の靴は、本来裸足で駆け回っていた生物としての人間の足には合わず、逆に健康を損ねるものだったのだ。
確かに小学生のころ、わしは学校に着くとすぐに靴を脱ぎ、いつも裸足でグランドはおろか校内を駆け回っていた。朝も昼も夜も、夏だろうと冬だろうといつも裸足だった。上履きなんか、ほとんど履いたことなかった。
それでも足に怪我をしたことなどは一回もない。身体も丈夫で冬でも半袖短パンで風邪も引かなかったw
クラスに一人はいたでしょう?そう、わしがそれwそんな生活は小6まで続いたけど、まったく何も問題はなかった。
今振り返ってみると、
そうした生活はなにも不自然なところはない人間としてより自然に近い正しい生活だったのだ。
当時、裸足で生活していたわしはもちろん1回も足を故障したことはない。
ベアフット(裸足)ランニングの効能
その他にもナイキがスポンサーを務める、スタンフォード大学の陸上部コーチのヴィン・ラナナはこう言う。
「シューズのサポート機能をどんどん増やすことで、我々は足を自然な状態から遠ざけてきたんだ」
とラナナは訴えた。だからこそ彼は、ランナーたちがトレーニングの一環としてトラックを裸足で走るよう徹底する。
「シューズメーカーにとって、スポンサーを務めるチームに製品を使ってもらえないのはうれしいことではないのだろうが、人は何千年もシューズなしですごしていた。
シューズにいろいろと矯正機能を加えようとすれば、過剰に足の機能を補うことになると思う。直す必要のないものまで直すことになる。裸足になって足を鍛えれば、アキレス腱や膝、足底筋膜などに問題が生じるリスクは減るだろう」
そう、ハイテクで高級なシューズが足を保護してくれていたのではない。
逆に足を退化させていたのだ!
こうしてナイキがハイテクシューズを開発したおかげで、
マラソンを走るランナー達に大量の故障者達を生み出してしまった。
その後、ナイキは方針を切り換える。
ある不可能に思えた極秘プロジェクトを推し進めるのだ。
それは裸足をもとに金を稼ぐ方法を見つけることだった。
そうして二年の歳月をかけ開発された新製品のナイキ・フリー。
かつてのコルテッツよりも薄いスリッパのような靴で、これを世界で活躍するアスリートをCMで使い、大々的に放映して宣伝する。
そのキャッチコピーは、「裸足で走れ」
まるで今まで自分たちが散々厚底のシューズを作ってランナーたちを苦しめていたことを忘れたかのような掌返しw
この変わり身の速さには唖然としてしまうが、こうしたドライな方針転換がアメリカの起業体質なのだろう。

商売っ気が強いのう。
アメリカの企業なんてそんなもんだろう。

そういえばナイキといえばわしが小学生の頃、エアマックス95とか「エアマックス狩り」なんて社会現象になるまで流行していたのに、気がつくとそうした厚底の靴はいつの間にか姿を消してしまっていた。
あの透明なエアーが見える靴は、当時見た目にも斬新でカッコ良かったのに、いまでは見る影もない!

そんなにすごかったんでしゅか?
今の若者には厚底のシューズなんて珍しくもなんともないかもしれんが、わしが若い頃はあのエアが入ったシューズは多くの若者が憧れてみんな欲しがったもんじゃ!

ナイキといえばあのエアーが入っていた厚底靴というイメージが、
今ではあまりどこのメーカーとも大差がないような平べったいシューズを売っている。
あのエアの入った靴の流行は一体なんだったのか?
あのような靴が世間一般から姿を消してしまった理由は実は故障のしやすさにあったのだ。
そして当時の過ちを償いもせずに今ではナイキも裸足のような薄いシューズを堂々と販売している。
本書を読んでいるとそうした靴メーカーによる金儲けのために翻弄された当時のランナーたちが可愛そうでならないが、この本はそんなナイキの功罪を告発するだけでなく、裸足で何キロも駆け回ることができる部族たちとのウルトラマラソンに軸を向けていく。
今では様々なシューズメーカーが薄いシューズの有用性を認め、競って製造をしているという。
その中でも一番頭角を表し、ベアフットサンダルのパイオニアといえばこのブログで何回も取り上げているビブラムだろう。

ファイブフィンガーズの出番じゃ!
ああ、あれか。

ファイブフィンガーズの効果
ビブラムは薄いシューズが足に良いという事実ををいち早く突き止め、早くも代表作『ビブラムファイブフィンガーズ』を開発し販売する。
もともと『ファイブフィンガーズ』はヨットレーサー用のデッキシューズとして開発されたもので、そのねらいは滑りやすい甲板でのグリップを強めつつ、素足の感覚を保つことにあったそうだ。

そうか、やっぱり『ファイブフィンガーズ』って良い靴だったんだね。
ほーん。
靴の歴史にも色々あんだな。

この本を読んでいたら、わしも『ファイブフィンガーズ』を履いて外へ飛び出したくなってきた。
季節も秋に近づいて走りやすくなってきた今日このごろだし、君も本書を読んで一度ベアフットランを試してみてはいかがだろうか?