

ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミは歴代の天皇について知っているかい?
へぇ〜⋯
“天皇125代”って全部載ってんのか?それ。


そうなのじゃ。
神武天皇から今上陛下まで、連綿と続く皇統をここまで整理した本は珍しいのじゃ
てか、125人って多すぎね?
オレ、3人くらいしか知らねーんだけど?


逆に知らなすぎじゃ!
それだったら読む意義があるだろうなあ。大化の改新や南北朝、戦後の象徴天皇制まで…理解が深まるのじゃ。
天皇か⋯⋯
地味なテーマだけど面白そうだな。

\ ココがポイント!/

『天皇125代』(廣済堂出版)は、日本の歴代天皇を一人ずつ簡潔に紹介した歴史教養書なのじゃ!!
神武天皇から令和の今上天皇に至るまでの系譜を政治的背景・出来事・人物像などの観点から時系列で網羅し、天皇制という一見難解なテーマをわかりやすく読み解いている点が大きな特長だ。
本書は、学術書と通俗本の中間に位置し、堅苦しすぎず、かといって内容が浅すぎることもない。初学者にとっても、日本史の俯瞰に適した一冊となっている。
特に時代背景とのつながりを重視しており「天皇とは何か」「どのように役割が変化したのか」を自然に理解できる構成となっているのが秀逸だろう。皇室制度に関心がある人はもちろん、日本という国の成り立ちに関心をもつすべての人に推奨したい。
天皇125代 皇位継承と生前退位の歴史
今年で平成も最後の年。
わしは昭和60年代に生まれた人間で、物心ついたとき時代はすでに平成になっていた。
だから人生のほぼ大半を平成という時代に生きてきたと言えよう。
ひとつの節目が終わり、元号が変わるという実感もないまま平成最後の年を迎えようとしている。
そんな折、本屋で見かけたこの本を手にとり、今までの日本の歴史に登場する歴代天皇とはどんな人達だったのかを知りたくなってこの本を購入した。
この本の大部分を執筆しているのはこのブログでもご著書を散々取り上げてきた高森明勅氏。
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今までこのブログで紹介してきた著書は、皇室や日本史に影響力を与えてきた天皇を中心だったが、本書は歴代の天皇をすべて網羅したものすごいボリュームになる歴代天皇の歴史を、かなりコンパクトにまとめた天皇本の保存版!である。
この本がとにかくすごいのが歴代天皇の歴史を近代の明治天皇からはじまり、神武天皇から崇神天皇までの古代の天皇、大和時代や女性天皇の役割や、平安・鎌倉・江戸の天皇について皇室典範の問題も交えて事細かに書かれている。
学校の歴史では天皇についてあまり深く掘り下げないのだろうが、この一冊で歴史の教科書では教えることのない天皇の役割がどのようなもので、それが現代にどのように受け継がれているかが詳しく解説されているので、天皇初心者にはもってこいの永久保存版の解説書と言っていいだろう。
これからの皇室のあり方
個人的にはこれからの皇室のあり方として皇室典範の改正や女性天皇・女系天皇のあり方、この先まで皇室は続いていくのか?ということに非常に興味がある。
そうした現代の皇室存続のあり方などにしっかりと問題を投げかけ論じている本書は、
来年新元号と新天皇を迎える我々国民が目をそむけてはいけない重大な指摘を含んでいる。
これからの日本の行末を考える上で知っておかなくてはいけない基礎知識がここにあることは間違いない。
現在の皇室のあり方ははっきり言ってこれからこの先、未来永劫皇室が日本と共に続いていくとはとても思えない制度になっている。
そうした多くの欠陥を抱えた現行の皇室制度を今いかに変え未来へと継承していくか?
我々国民は皇室とともにどのように歩んでいくべきか、
この本を読んで待ったなしの議論を今ここから起こしていくべきだと考える。
良いところ
あらすじ
『天皇125代』は初代・神武天皇から現在の第125代・今上天皇まで、歴代の天皇を一人ひとり丁寧に紹介している。
各天皇ごとに在位期間、時代背景、政治的事件、人物的特徴などが簡潔にまとめられ、図版や年表も活用しながら読みやすく構成されている。
内容はおおまかに、古代(神話・飛鳥・奈良)、中世(平安・鎌倉・室町)、近世(江戸)、近代(明治・大正・昭和)そして現代(平成・令和)という時代区分で分類されており、それぞれの時代で天皇が果たした役割の変遷を追うことができる。
また南北朝の分裂や明治以降の国家と天皇の関係、昭和の戦争責任、戦後の象徴天皇制の確立といった重いテーマにも触れつつも、平易な表現で解説しているため、読者は肩肘張らずに天皇制の全体像を学ぶことができる。
では以下に良いところを挙げていこう!
歴史の通読性が高い構成
天皇一人ひとりを短く簡潔に紹介しているため、読む手が止まりにくい。
ページをめくるたびに新しい時代が現れ、日本史の流れを滑らかに俯瞰できる作りとなっている。系譜や出来事が時系列に整理されており、教科書では得られにくい「つながりの理解」が可能だ。
知識ゼロでも読みやすい文体
学術的すぎず、かといって表面的でもない絶妙なバランスの文体が特徴である。
歴史を知識としてでなく“物語”として読めるような記述が多く、興味のなかった読者にも親しみやすい構成になっている。
見開きで完結するテンポの良さ
一人の天皇につき、基本的に見開き1〜2ページで構成されているため、辞書的にパラ読みしても全体の流れを把握できる。「つまみ読み」でも十分に知識が得られるのは現代人にとってありがたい特性だろう。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
詳細な記述には物足りなさも
一人あたりの情報量は限られており、深堀りしたい読者にはやや物足りない印象を受けるかもしれない。あくまで“概要把握”にとどまる作りだ。
資料性やビジュアルの弱さ
図版や年表はあるものの、視覚的に強い印象を残す写真や絵画は少なく、若干平坦に感じられる箇所もある。もっとビジュアルで補強されていれば初心者の吸収も早くなっただろう。
現代天皇に関する深掘り不足
昭和・平成・令和と現代に近づくにつれて記述が浅くなる傾向がある。政治的配慮があるにせよ、近現代天皇についてもう少し詳細な分析があってもよかった。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 日本の天皇制の全体像をざっくり理解したい人
- 学校で学ぶ歴史だけでは物足りない大人の読者
- 皇室や日本文化に関心を持ちはじめた初心者
『天皇125代』は日本史を俯瞰する上で極めて有用な1冊である。
全125代の天皇について簡潔にまとめながらも時代背景と政治的文脈を丁寧に押さえた構成によって、読者は「なぜその天皇が重要なのか」を自然に理解することができる。
深く専門的ではないが逆にそのバランス感が幅広い層に読まれる理由でもある。歴史教養書としての完成度が高く、通読しても辞書的に使っても価値がある内容だ。
日本史初心者から再入門者、皇室研究への導入まで幅広い用途に応える良書である。

この一冊を読み終えたとき、天皇という存在の重みと継続の奇跡にしみじみと胸を打たれること間違いなしじゃ!