
こんちわ、おいさんだよ。
キミは日本の天皇について語れるかい?
また皇室の本か?


天皇陛下ってすごい人でしょ?
ポポポ!


そうじゃ。
でも今回は天皇自身について語れるかどうかということじゃ。
オレ、あんまり日本の歴史に詳しくないしなあ。


そこで今回はとてもわかりやすい天皇についての本「日本の10大天皇 (幻冬舎新書)」をご紹介するのじゃ!
前回まではこちら
レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」という名作について。という話(*´ω`*)
日本の10大天皇
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誰もが知っていて、それでいて実はその存在がイマイチわかっていない人は多いのではないだろうか?
我が国の「象徴」、あるいは「日本国の統合の象徴」である天皇というものに、今まで無知な人はかなり多い気がする。
もちろんワシもその一人であった。
しかし、この本を読んでようやく日本にとって大切な「天皇」という存在の意味がわかった。
この本は、そんなわしら皇室とは縁のないように思える一般人にも、やさしく「天皇」について語ってくれる良書である。
一般的に天皇というものは、明治時代に皇帝として祭り上げられ、それまで日本になかった新たな帝政をしき、近代化の中、富国強兵に邁進し、先の大戦では多大な犠牲を日本にもたらした張本人である!
というような認識が強いと思う。(ワシも中学の時に、教科書でそう習った)
そしてあの先の敗戦を機に、その権力が再び暴走しないよう今の地位に置かれたと思われている方も多いと思う。
すなわち「象徴」である。
象徴とは、なんだか中身が空っぽのただの国のお飾りのように感じている日本人は多いはずだ。
しかし、それはいずれも「勘違い」ないし「誤解」だ。
元々、天皇は古来より「権力を持たない存在」だった。
え?権力をもたない?そんなの嘘だって?
現に昔はデッカイ古墳とか作ったり、明治時代には全ての権力を欲しいままに束ねていたじゃないか!
そんな声がどこからか聞こえてきそうな気がする。
しかし、これはいずれも間違い。では「天皇」とは一体なんであるか?
立憲君主としての天皇
その疑問に答えるために本書から少し本文を引用してみよう。
日本国憲法下の天皇は「元首」であり、「君主」です。
(中略)毎年、1月1日に皇居の宮殿で天皇の国事行為として行なわれている「新年祝賀の儀」。この儀式ひとつを見ただけで、天皇が元首であることはわかります。
そこで何が行なわれているか?
行政・立法・司法三権の代表者らが順番に、天皇陛下に新年のお祝いのご挨拶を申し上げているのです。国制上、天皇が三権より「上位」に位置づけられていることを、目に見えるかたちで端的に表現していますね。
さらにそれにつづいて、日本に派遣されている各国の大使らが、天皇陛下にご挨拶申し上げます。
これは、天皇こそがわが国を対外的にもっとも高い立場で代表する存在であることを、明確にしめしています。その国を対外的に代表し、三権の上位にある立場――といえば、まさに元首以外にありえませんね。
元首がその地位を世襲する場合、「君主」といいます。
天皇の地位が「世襲」されることは、憲法に定められています(第2条)。したがって天皇が君主であることも、うたがう余地がありません。
つまり「立憲君主制」は維持されているんですね。
立憲君主制。
つまり天皇は「皇帝」として君臨していたのではなく、
民をゆるやかに束ねる「君主」として存在しているのであるということ。
立憲主義というのは絶対王政のように、国王を神のごとく頂点として統治するシステムとは全く違う。
「元首」あるいは「君主」は、西欧の国王や中国の皇帝のように
「権力」を使ってその国の自由を抑えてきたわけではない。
「権威」をもって国を統治する存在である。
本書を読んでいて気づいたのだが、日本人にはあまり馴染みがない「権威」と「権力」の違いについてだ。
「権威」と「権力」は明確にちがう。
「権力」とは大雑把にいえば国民を殺し、暴力的にその国あるいは民を支配することができる生殺与奪権の持つことである。
しかし一方で天皇とは「権威」のみを持つことを許されてきた存在である。
それでは天皇の「権威」とはなにか?
天皇は祭祀王
天皇にとって、その「権威」の源とは何か?
それは神話以外にもこれまで連綿と行ってきた祭祀である。と、この本は言う。
天皇は古代から祭祀をすることによって、常に民が飢えないように、
民のかまどから火が絶えないように祈り続けてきた存在なのだそうだ。
そうした「祈りは」「古事記」などから伝承される、神の子孫としてこの国を統治することを約束された神話の時代から
現代までも行っているという。
その長い年月繰り返し行ってきた「祈り」が民の拠り所になり、今でも皇室に対する「権威」になったのだ
「権力」は民を殺すが、「権威」は民を殺すことはない。
天皇とは古代から庶民に寄り添いながら「権威」のみを抱いて続いてきた存在なのである。
公の体現者
日本はいつの時代も、「天皇」を上位に置くことによってこの国を統治してきた。
源頼朝や足利尊氏や徳川家康も将軍という地位にあっても、天皇の名の元に「権力」を預けられた存在でしかない。
なので「権力」は時が過ぎればやがてその徳を失い、また新たな「権力者」が出てくる。
日本は昔から自然とこうした形でもって、この国を統治してきたのだ。
しかし天皇にはそうした時の権力者たちのような栄枯盛衰はない。
それは天皇が常に民の安らかなることを祈りながら、民に寄り添い、祈りを捧げながらこの国に統治(統べる)していたからだ。
統べるとは何か?
それは「権力」をもって強権的に国を支配することではなく、「権威」でもってゆるやかにみんなを束ねることを統べるという。
天皇は今も昔もそうした存在で続いてきたのだ。
天皇はワシらの知らない所でずーっと祭祀という伝統をこれまで一度も絶やすことなく祈り続けてきた。
つまり、天皇は無私の存在。
公の体現者なのである
すごい!こんな存在が日本にいたとは!
しかも皇室の伝統は世界の王室の中で最も長いものであるという!!
これは間違いなく日本の誇りである!
この本書は歴代の天皇がそれまでの日本にどういった存在で捉えられ、どういった形で君臨し(統治し)ていたのかを、具体的な例10人を上げながらやさしくその存在を解説していってくれる。
もう一度、この国の中心である天皇という存在について勉強したみてはどうだろう?
そうすれば、天皇の本当の姿が浮かび上がってくるだろう。