
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミはローマは好きかい?
お前、『<新訳>ガリア戦記』って読んだことあるか?


ああ、あるぞ!
カエサル自身が書いた戦記を中倉玄喜氏が新訳したPHPから出ているものを読んだのじゃ。
ローマの英雄が自らの遠征を綴ったって、すごいよな。


カエサルの簡潔な文体が再現されており、読みやすいと評判の現代に読み告がれる名著なのじゃ。
でも古い本だから、地名や部族名が多くて少し混乱しそうになるのが玉に傷だよな。

\ ココがポイント!/

『<新訳>ガリア戦記』は、カエサル自らのガリア遠征を記した歴史的名著なのじゃ!!
カエサルの簡潔で明瞭な文体を忠実に再現し、当時の政治状況や民族、軍隊に関する詳細な解説や地図を豊富に盛り込んでいるため、読者はローマ史やカエサルの戦略を深く理解することができる。ただし、地名や部族名が多く登場するため、初めは混乱するかもしれないが、解説や地図を参照することで理解が深まるだろう。
<新訳>ガリア戦記
今回紹介する本はヨーロッパの歴史。ローマ帝国建国の祖の物語である。
ローマ帝国。
つまりは共和制ローマではなく、帝政に移行してからのローマの物語である。
ココらへんは話が複雑になるので塩野七生のローマ人の物語 を参照してもらうことにして、『ガリア戦記』は、ユリウス・カエサル……日本ではこっちの名前の方が有名かな?
ジュリアス・シーザーが書いた、ローマからガリアの地(今のヨーロッパ)へ進行した時の戦いの記録である。
ジュリアス・シーザーとはあの「ブルータス、お前もか……」のジュリアス・シーザー。

「賽は投げられた!」の名言で知られるジュリアス・シーザーのことであるw(*´∀`*)
英雄自らが記した「英雄の物語」
驚くことに本書を書いたのは軍事の天才・カエサル自身ということだ。
カエサルは軍人として天才なだけではなく、文章を書かせても天才なのである。
カエサルの時代はローマは元老院派(貴族階級)と民主派(市民階級)に別れて合議制のもと政権(共和制)を運営していた。
民主派の英雄でありながら志半ばで元老院派に敗れた父を持つカエサルは、自らもその意志を継ぐべく権力の掌握に奔走する。
何故わざわざ自身の遠征の記録をローマ市民に知らせる必要があったのか?
その当時は元老院といえども民衆の意見を無視できなかったため、カエサルは「民衆」という支持基盤をバックに、自分の揺るぎない権力基盤を築くために「ガリア戦記」の執筆を行ったという。
そうした英雄自らが記した「英雄の物語」というものも、珍しいのではないだろうか?
普通、英雄の物語といえば第三者の歴史家が資料を集めて執筆するものだが、カエサルは自らが筆をとって自分の行動を中立な視点で*1描くことに奔走している。
その文章は無駄がなく、洗練されていて、緻密だ。
これを読んで、なぁんだ。ただのプロパガンダの本じゃねぇか(・へ・)
自作自演かよッ!(;´Д`)
と、思うのは早計である。
なぜなら本書は刊行されるや当時のローマ市民を狂喜させ、以来今日まで多くの人々に読み継がれ、多くの後世の読者を魅了してきた本だからである。
単なるプロパガンダの本に、当時の民衆がそこまで熱狂するだろうか?そこには多くの人の支持を集める「不思議な何か」があったのだ。
こうしてヨーロッパの歴史は、実はローマ帝国がこの後ガリアを支配してから始まる。
ヨーロッパの原点は、カエサルのガリア遠征にあったのだ。
西洋の歴史の原点を知るためには、この『ガリア戦記』は外せない。
それくらいヨーロッパの歴史を知る上で、世界史上最も有名な古典だからである。
カエサルは文章上手?
では、カエサルが見せた知略と文学的才能とはどれほどのものなのだろう?
本当にカエサルの文章は優れているのだろうか?
それは読んでみていただければお分かりになると思う。
……なんて、ずるい解答を用意していたりしてw
まぁ、この本の冒頭は有り難いことにその当時、ローマがどういった状況に置かれていたのか100ページにわたる解説から始まる。
ココら辺は非常に親切である。
しかし難点なのは少しヨーロッパの地名や人名が多くて頭が混乱することだ。巻末に一応あいうえお順で名前の解説が入っているが、それはそれで読んでいくのがいささかしんどいことはしんどい。
まぁそれでも読んでいて非常におもしろい書物であることは間違いない。
何故なら長い風説に耐えて残ってきた古典なんだから、
ついでに塩野七生の「ローマ人の物語〈8〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(上) 」も一緒に読むと勉強の助けになるだろう。

英雄の生き様、とくとご覧あれ。
良いところ
あらすじ
『ガリア戦記』は、紀元前58年から前50年にかけてのカエサルによるガリア遠征の記録である。
カエサルは、ガリア全体が三つの地域に分かれていることから始め、各部族との戦闘、同盟、戦略的駆け引きを詳細に描写している。特に、ヘルウェティイ族の移動阻止、ゲルマニア人との対峙、ブリタニア遠征、そしてガリア全土の平定に至るまでの過程が克明に記されており、ローマ軍の戦術やカエサルの指導力が鮮明に浮かび上がる。
またガリアやゲルマニアの風俗、習慣、地理的特徴についての観察も含まれており、当時のヨーロッパの状況を知る貴重な資料となっている。
では以下に良いところを挙げていこう!
カエサルの文体を忠実に再現
中倉玄喜氏の新訳はカエサルの特徴である簡潔で明瞭な文体を見事に再現している。
これにより読者はカエサル自身の語り口調を感じながら、歴史的事実に触れることができる。カエサルは自らの行動を第三人称で記述しており、客観的な視点から戦記を読むことが可能となっている。
詳細な解説と豊富な地図の挿入
本書には当時の政治情勢、民族構成、軍隊の編成などに関する詳細な解説が付されている。
これにより読者は歴史的背景を深く理解しながら読み進めることができる。また、適宜挿入された地図は、戦闘の舞台となった地域の位置関係を視覚的に把握するのに役立ち、物語の理解を一層深めている。
歴史的価値の高さ
『ガリア戦記』はカエサル自身が著した唯一の戦記であり、当時のローマやガリアの状況を知る上で極めて重要な史料である。カエサルの戦略や戦術、政治的手腕を直接知ることができるため、歴史愛好家や軍事史に興味のある読者にとって貴重な一冊となっている。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に良いところを挙げていこう。
多数の地名や部族名による混乱
本書では多くの地名や部族名が登場するため、読者は初め混乱する可能性がある。
特に現代の地理と照らし合わせながら理解するには、一定の労力を要する。
戦闘描写の連続による単調さ
戦記という性質上、戦闘の描写が続くため読者によっては単調に感じる部分もある。戦術や戦略に興味が薄い読者にとっては、読み進めるのがやや辛い箇所も存在する。
カエサル視点の偏り
本書はカエサル自身が著したものであるため、彼の視点や主張が前面に出ている。
他の視点や反論がほとんど含まれていないため、全体像を把握するためには他の資料と併読することが望ましい。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 古代ローマ史やユリウス・カエサルに興味がある人
- 軍事史や戦略に関心を持つ人
- 歴史的名著を原典に近い形で読みたい人
『<新訳>ガリア戦記』はユリウス・カエサルが自らのガリア遠征を詳細に記した歴史的名著を、中倉玄喜氏が現代日本語で忠実に再現した一冊である。
カエサルの簡潔で明瞭な文体、詳細な解説、豊富な地図により、読者は当時のローマとガリアの状況を深く理解することができる。地名や部族名の多さ、戦闘描写の連続、カエサル視点の偏りといった点に注意しつつも、歴史愛好家や軍事史に興味のある読者にとっては必読の書である!

古代ローマの歴史の息吹を直に感じたいなら、この一冊を手に取るべきじゃな。