
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミは「古事記」は好きかい?
古事記って学校でやったけど、正直つまんねーだろ。


うーん、それは読んだ訳が悪かっただけじゃないか?
訳なんて全部おんなじだろ。
カタいし、神様の名前なんか全部覚えられんし。


確かに日本神話の神の名前は複雑じゃな。
しかし、今回紹介する角川ソフィア文庫の『新版 古事記』は違うぞ。現代語訳が見事でまるで小説のように読めるのじゃ!
へぇ…そんなにおもしろく読めるもんかね?

\ ココがポイント!/

『新版 古事記 』は日本最古の書物というハードルを打ち砕き、エンタメ作品としても読める“新しい古典”なのじゃ!!
訳者・三浦佑之の手による現代語訳は、古代語の壁を見事に崩し、読者を物語世界へと自然に誘ってくれる。神話に込められた生々しい人間ドラマ、暴力とユーモア、神々の光と影が明瞭に伝わってくる構成力は圧巻だ。単なる歴史書や資料集ではなく、神々の生き様を味わう物語文学としての側面が全面に出ており、古事記初心者にも最適な一冊だと言える。
「古事記は難しい」という思い込みを粉砕し、“面白いから読む”時代を開いた現代語訳の金字塔である。
新版 古事記 現代語訳付き
神話の世界に惹かれるようになったのは去年からだった。
昨年2012年は「古事記編纂1300年」にあたる年だ。
ワシは一人旅で日本各地の名所旧跡を訪ね、そのほとんどが古事記や日本の神話に関係する場所だった。
その時は、
あえてワシの興味があった神社仏閣やパワースポットを巡り、多くの場所が日本神話に関係する土地だった。
そんな数多の神社をいろいろまわって思ったのは、わしらは日本の神話というものを、一体どれくらい知っているのだろう?ということだった。
気づいてみれば、お伽話でヤマタノオロチの話や、因幡の白兎などは小さいころ聞かされた記憶があるが、それは日本の神話のごく一部でしか無く、もっと大きなバックボーンで知っているかと聞かれたら「知らない」というしかない。
それくらい、わしらの世代は神話とは無縁に育った。
もしかしたら、戦後の世代はみんなそうなのかもしれない。
そこで、わしは神話についてもっと知りたい。
日本の神々の話をもっとよく知っておきたい!
せっかく一人旅で各地の神社を周ったのだから、これも何かの縁ともっと神話について掘り下げてみようと思った。
そこでまず、当時、「古事記編纂1300年」にあたることから「古事記」を読んでみることにした。「日本書紀」などの古典もあるが、まずは「古事記」でしょう!(*´∀`*)
本屋に行ってみると、あるわあるわ!
「古事記」ブームにあやかって本屋の一角は古事記のオンパレード!
山積みになっている「古事記」を目の前にして、わしは途方に暮れてしまった。一体どれを選べばいいんだろう?(;´Д`)
な、なるべく分かりやすそうなやつがいいな(^_^;)。
そうして、頭の悪いわしでも読めそうなものとして選んだのが「新版 古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)」だった!
神話は民族のアイデンティティ
さっそく家に帰って読んでみた。
パラパラ…パラパラ……(; ・`ω・´)
んんっ??おかしいな、ちっともわからないぞ?(;´Д`)
なんだこのわかりにくさは?あれぇ?
さっき、本屋で読んだ時はちゃんと読めたのに…と思って後ろの方をめくってみると、
なぁんだこっちに現代語訳載ってるじゃん!
こいつぁ、うっかりだ!(ノ ∀`*)タハー
わしが読んでいたのは前半の、昔のままの文体の方で本書には後半にしっかり現代語訳が載っていた。
こっちを先に読まなくては難解なわけだw
読んでも文章がちっともわからない。
しかし改めて現代語訳を読んでみると、古事記に載っているお話はどこかで聞いたことがあるモノばかり。
前述のスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治とか「そうか。日本の神話では、この世界は、イザナミとイザナギが矛を使って宇宙をかき回すことによって創られたのか(゜o゜;」とか
そんなものを読んでいたら思わずドラえもん・のび太創世日記を思い出したw
特にイザナミが黄泉の国からゾンビになってしつこくイザナギを追いかけてきたくだりなんかは個人的に怖かったw
(ひぇぇぇ…執念深ぇな(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル
知っているようで実は知らない日本の神話が、実はけっこうワシ自身触れていたことを改めて知ることが出来た。
この本を開けば、そうしたどこかで聞いたことがあるお伽話に一つや二つ必ず出会える。
でもナゼ、いま神話なのか?
コレを読んでいる読者の方で、「おいさん、今更なんでそんなアリもしない荒唐無稽な作り話を知らなきゃならないんだよ?そんなもん何の役に立つんだよう?」
と、思う方もいるかもしれない。
しかし、ワシに言わせると、
「アホかっ!!この非国民がっ!!!(#゚Д゚)ゴルァ!!
という感じである。神話は実はただの「お伽話」ではない。
神話の中には必ずその民族を形成するメンタリティやアイデンティティが詰まっている。
神話の力
例えば、東日本大震災後、多くの日本人は「これから日本という国はどこへいったらいいのか?」と途方にくれてしまった人もいただろう。
しかし、そうした「日本人とはなんなのか?」という問いかけに神話というものは応えてくれるものなのだ。
…と、他にも神話の効能はいろいろとあるのだが、ワシが語ってもイマイチ信用ならねぇという方も多いと思う。
そこで登場するのが、この「神話の力」という本である。
本書には世界中の神話とその魅力、神話のエピソードとは一体何を表し、人類にどういった効能をもたらしてきたのかが書いてある。
読んでいくと、神話というものがやはり単なるお伽話ではなく、
その地方や民族を代表するアイデンティティや現代でも通用する人生をより良く生きるための示唆に富んだ物語であることを、本書の著者の一人、神話学の権威・ジョーゼフ キャンベル氏は説明してくれる。
ここで本書の内容を長々と書いてみてもしょうがないのでとりあえず一回、読んでみることをおすすめする。
この本を読んで、「古事記」を読み解くと、驚くほど神話の神々と現代の日本人が重なる部分が見られるだろう。
もちろん、同じ民族なんだから当たり前だろうと思うかもしれないが、八百万の神々と現代の日本人が同じ。
そこに不思議なものを感じずにはいられない。一口にいうと、日本の神々はみな人間臭いのである。
一神教のように絶対的な力を持っているわけでもなく、どこか可愛らしく、あの天照大御神でさえ失敗したりする。
八百万の神々はそうした人間臭い色々な失敗を、この古事記の中で繰り広げ、そこに不思議と現代人との共通点を見出すことができるのだ。
考えてみれば、これは不思議な気がする。
だって1300年も経てば、人間いくらでも変わりそうなものである。
しかし現実には、わしらの生きてるこの世界と、神々が生きていた時代が驚くほど合致するところに何かの示唆のようなものを感じずにはいられない。
そうしたところに、現代の日本人の原点をみることができるのだ。
これこそが、メンタリティ・アイデンティティ。
神話こそ民族の原点である証拠である。
未来の進むべき道がよく分からない今こそ、「古事記」を読むべきではないだろうか?
そんな思いを、本書はわしに教えてくれたような気がする。古代の日本人が何を思い、どう暮らしていたのか?
日本人が大切にしていたことは何か?
その答えが、この「古事記」には書いてある。
神話とは、「侮るべき昔話」ではないのだ。
良いところ
あらすじ
『古事記』は、天地創造から始まる日本最古の神話文学である。
イザナギとイザナミによる国産み、アマテラス・スサノオ・ツクヨミの三貴子の登場、そしてアマテラスの天岩戸神話など、日本神話の核となるエピソードが次々と展開される。やがて物語は地上世界に移り、神の子孫である神武天皇による東征、天皇家の起源へとつながっていく。神々は決して完全無欠ではなく、嫉妬や怒りに満ち、人間味に溢れている。時に暴走し、時に和解するその姿に、読者は現代的な共感を覚えるだろう。
神々と人間が交錯する壮大な時間の流れの中で、「日本とは何か」という問いが静かに立ち上がってくる物語である。
では以下に良いところを挙げていこう
現代語訳の巧みさが物語をエンタメ化している
本書の最大の魅力は、三浦佑之による現代語訳の鮮やかさにある。古語や文語体を排し、平明かつリズミカルな訳文が続くことで、物語のテンポが極めて良い。読者は“読む”というより“物語に入り込む”体験をすることになる。特に神々の会話や感情表現は生き生きとしており、まるで登場人物が現代のドラマから抜け出してきたかのようである。
原文付きだから本格派も納得
現代語訳の下に原文が併記されている構成となっており、古典の響きを味わいたい読者にも配慮されている。訳文を読み進めながら、ふと原文に目をやることで、言葉のリズムや意味の深みを感じ取ることができる。この二重構造は、文学的な鑑賞にも、学習的な利用にも対応している点で非常に優秀である。
巻末の解説と注釈が親切かつ深い
訳文に続く解説パートは、各神話の背景、語源、文化的意味まで丁寧に記述されており、読後の理解を深めてくれる。古事記という一見とっつきにくい素材を、知的好奇心の対象へと変貌させる構成が見事だ。教養としての古事記だけでなく、楽しむための古事記として読める仕組みが整っている。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
次に悪いところを挙げていこう。
神名や地名が多く覚えづらい
神話ゆえに登場人物(神)の名前や土地の名称が多く、似たような表記が続くことで混乱する読者も多い。現代語訳で読みやすくはなっているが、記憶負荷は依然として高い。
章によっては冗長に感じる箇所も
中盤以降、系譜的な記述が増えてくると物語性が薄まり、ストーリー展開が単調に見える箇所もある。神話というより「古代の戸籍簿」のように映る部分は好みが分かれるだろう。
現代語訳が“柔らかすぎる”と感じる層も
翻訳の平易さゆえに、厳かな古典的雰囲気が削がれていると感じる読者もいる。特に原典の響きを重視する古典マニアには、若干“軽すぎる”と評価される可能性がある。
そこらへんは好みだろうけど、気にならないヤツは気にならないだろうな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 日本神話や神道に興味がある人
- 難しい古典をストレスなく楽しみたい人
- 村上春樹や宮部みゆき的な物語性を古典に求める人
『新版 古事記 現代語訳付き』は、古代の神話世界を現代の読者に伝えるために最適化された優良書である。
語りのリズムと翻訳の洗練により、神話が“読むべき義務”ではなく“読んで楽しい冒険譚”へと昇華されている。複雑な用語や構造を、平明な訳と丁寧な注釈で解きほぐす構成力も抜群だ。神話という日本文化の根幹に触れるための“第一歩”として、これ以上ないほどわかりやすく、そして奥深い。
古事記を知らぬ者にも敬遠してきた者にも、今こそ読んでほしい一冊である!

神話は遠き昔の話ではないのじゃ。
今もなお、我らの血と心に息づいておるのじゃ!