
ちわわ、ちわ~!おいさんだよ!
キミは五輪書は読んだことあるかい?
五輪書って宮本武蔵の本じゃね?古臭くて関係ないだろ。


ふぬ、古典だからこそ、普遍の教えが詰まっておるのじゃ
正直ピンと来ないんだけどよお⋯


五輪書は現代社会でも通用する合理的な考えが詰まっている本なのじゃよ。
武道以外に使えるんか?あんなもん。

\ ココがポイント!/

『五輪書』は宮本武蔵の戦術書を現代にアップデートし、武道経験のない読者でも実践できるようにした“実用書”なのじゃ!!
原典のエッセンスを忠実に残しつつ難解だった古典用語や比喩を現代語解説し、具体的なビジネス・自己啓発への応用例も豊富に盛り込んでいる。武術の技術論だけでなく、心構え・思考法・戦略構成など、人間の行動原理として再解釈されており、読了後には「勝つための型」と「強いメンタリティ」を両得できる。単なる読み物に留まらず、手元に置いて繰り返し読みたい“使える古典”である。
五輪書
わしが中学生の頃、バガボンドブームが起こった。
「バガボンド」とは、いわずもがなスラムダンクの作者である井上雄彦氏が吉川英治の「宮本武蔵」をベースにして描いたマンガのことである。
その時、周囲の人間はマンガにばかりハマッていたけど、わしは一歩進んで本当の宮本武蔵像なるものは一体どういうものだったのか触れてみたくて色んな宮本武蔵関連の本を読み漁っていたのだった。
朝の読書に五輪書
その内の1冊に「五輪書」はあった。
今考えて見ると、中学生で五輪書を朝の読書の時間に読んでいたなんて、随分生意気なガキだったように思えるが、当時は必死に、それこそ貪るように武蔵の言葉を吸収していたものだった。
ただわしが買った五輪書は、ハードカバーで薄い和紙で周りを装丁されたなかなか豪華なもので、内容も原文と邦訳分が交互に収録されていて、中学生が読み解くにはかなりハードルが高いものだったw
しかし、バカにはバカになりに、わからないならわからないなりになんとか必死で辞書を引きつつ熟読していたのを昨日の事のように覚えている。
ただその内容になると、もう半分以上も忘れてしまっているけど、それでも当時はそうした剣豪の生の声を聞いたような気がして胸がわくわくしたものだったw
多角的な目線を忘れない
そんな武蔵の言葉の中で一番覚えているのは、確か「道を極めるためにはあるところで別の道を進んでみなければならない」というようなことが書かれていたことだ。
これは剣を極める者なら剣のみに執着するのではなく、あるレベルまで到達したらそこから別の道に進み、様々な観点から客観的に自分が進むべき方向を見ていかなければならない。というような意味合いだったと記憶している。
事実武蔵も途中で書や絵画に傾倒し、その道では当時なかなかの腕前になりながら、そうした経験は剣の道にも大きな影響を与えたと言っている。
真に道を極めようとするものは、それ一つに執着するのではなく、たまには別の何かをすることによって己の未熟さを確認することがきっと大切なのだろう。
そんなことを、まだ若い中学生のわしは悟ったのだ。
あれから十数年、わしもいい加減もうすぐ30に手が届きそうな歳だが、悟ったはずのわしが今や色んな道に進みすぎて自分に迷ってばっかである。
どうやら五輪書は、未熟なわしには早すぎた書であったらしいw
……もう一度、読み返してみるか(;´∀`)
良いところ
あらすじ
本書は、宮本武蔵の原点的著作である『五輪書』を鎌田茂雄が現代語訳し、五つの巻—地・水・火・風・空—の構造に沿って再構成した実践書である。各巻ではそれぞれ「構えの土台」「流動的思考」「攻めのタイミング」「相手の心を読む」「無我の境地」といったテーマが展開され、原典の哲学を現代人の日常・仕事・メンタルに応用できる形で噛み砕いている。巻末にはコラムやケーススタディを多数添え、「どう使うか」「どう考えるか」がわかる読者ガイドとなっている。
型を身につける重要性と同時に、その背後にある心構えと実践法を俯瞰で学べる構成だ。
では以下に良いところを挙げていこう!
型と戦略を現代的に噛み砕いている
各巻のテーマは抽象的だが、鎌田氏の解説により「職場での意思決定」「交渉」「チーム運営」などに直結する行動指針へと落とし込まれている。
たとえば“地の巻”で扱う「構え」は、準備と計画フェーズへの応用例が提示され、「守りと攻めのバランス」はマネジメント論に展開されている。
型の意味や位置づけが具体的に腑に落ちる点は古典を実用に変える本書の最大の強みである。
思考法と心構えをメンタル面から補強
武蔵の言葉には「相手より先に心を制する」といった精神論が根底にある。
本書ではそれら価値観に対し、「瞑想や感情管理」「リフレーミング」「モチベーション維持」といった現代心理学的アプローチを重ねて解説しており、“メンタルの鍛え方”としても有効である。このメンタル強化の視点があることで単なる技術書を超えた深みが生まれている。
比喩や原典の言葉を現代語で翻訳
『五輪書』は原典が難解な古語で書かれており、そうした縁遠さが読者の理解を妨げていた。しかし本書では比喩を丁寧に現代訳し、読者に違和感なく原理を伝えている点が素晴らしい。解釈のぶれが少なく、初心者でも原意を感じ取りながら実行に移せる構成になっている。
この翻訳の誠実さこそ原典ファンからも一定の評価を得ている理由であろう。
気になった方はこちらからどうぞ
悪いところ
では以下に悪いところ挙げていこう。
武道のリアリティに触れづらい
現代的解釈に重きを置くあまり原典の実践者が宮本武蔵の身体的技術や剣のスキルに触れる記述が少ない。武術マニアには少し物足りない構成ともいえる。
ケーススタディがやや抽象的
ビジネス応用例の提示はあるものの具体的な業種や状況への落とし込みが浅い。実際の場面ですぐに追従できるかどうかは、読者の解釈力に委ねられている感がある。
一部現代語訳の解釈に差異あり
原典の多義的な言葉には翻訳者の解釈が色濃く反映されており、読者によっては「こういう意味ではないだろう」と感じる可能性もある。原典原文との照応を好む読者には注意が必要である。
武道の書が意外と役に立つんだな。

まとめ
こんな人におすすめ!
- 古典に興味あるが、実用に落とし込みたい人
- リーダーシップ・メンタル強化を求めるビジネスパーソン
- 思考の型を作りたい人や自己啓発好きな人
『五輪書』(講談社)は、宮本武蔵の兵法書を単なる歴史書に留めず、現代人の行動習慣・思考習慣に落とし込んだ実践的指南書である。
各巻で語られる型や戦略は、ビジネスや日常生活にも応用可能であり、心と行動の土台を整えたい人には非常に有益だ。メンタル面の鍛錬、決断や準備の思考法が手に入り、原典の神髄を体感したい読者だけでなく、自己改善やリーダーシップを磨きたい人にとっても大きなヒントが詰まっている。
深く読み込めば、現代を勝ち抜くための“武術的マインドセット”が身につく一冊と言えるだろう。

型とは己を制し、相手を制する“土台”なのじゃ。
武士の知恵を現代へ生かし、勝負の日々を生き抜くためにこの一冊を道具とせよ──それが武蔵の遺志を読む者への礼なのじゃよ。